【30分】6 ★ ページ36
さて。フェイが眠りの国までゆく約30分の間、ここでまったり過ごすことになるのだが、せっかく二人でいるので何を話そうかな、と思っていると、Aが俺を見つめながら先に言葉を発した。
「ねぇゆづさん。フェイさんとニジンスキーさん、いつの間にか仲良くなってますね。」
「あ、確かに。」
「やっぱり空を飛ぶ者同士、気が合うんでしょうか。」
自分も前からちょっと感じていた話題が出たので、同意の意味を込めて頷く。
シロが北の大地へ帰って三人のバランスが崩れるかと思っていた手前、フェイのやつなかなかうまいことやってるよな。
ニジンスキーに丸め込まれるかと心配していたけど、いらぬ心配だったみたいだ。
「真夜中の散歩、まだ二人で行ってるのかな。」
「まぁ、そんな楽しそうなことをしているんですか?」
Aが驚いているが、これは以前、上下関係について言及した事が良い結果に繋がったのかなと自画自賛する。
「あれから洋梨も食べてなさそうだし?けっこう言うこと聞いてんじゃん。」
何気なく果樹園の方に視線を向けると、不意にAが何かを思い出したように手をぽんと合わせた。
「あ、ゆづさん知ってますか?魔界ではリンゴが主食みたいです。」
「リンゴ?」
「ニジンスキーさんが言ってたんです。今日は一緒にアイスクリームを食べたんですけど、魔物が人間の世界の食べ物に興味を持つだけで面白いですよね。」
「アイスクリームかぁ〜…。」
ニジンスキーがアイスクリームを…。
そう言えば雪解けまつりの時、Aとマーケットで食べたきりだ。
ふふ…あそこで出会った少年。太郎くんは元気にしてるだろうか。
給食に月一回ずんだが出てくるようになって、びっくりしてんじゃねぇかな。
「ゆづさんも召し上がりますか?」
にやにやと思い出し笑いをしていると、Aから嬉しいお誘いがくる。
「そうだな、貰おうかな。」
「ではお持ちします。」
「あ、もちろんAが食べさせてくれるんだよね。」
そう声をかけたら、立ち上がったAが一瞬きょとんとした後、すぐに笑顔になって、確信犯的な俺と目が合う。
誰もいないし、こんな緊張感の中だからこそ、たまには恋人ごっこをしてみたくなったのだ。
「そんなかわいいことを言う夫を国民にも見せたいです。」
「それはまずい。威厳がなくなるわ。」
腕まくりをして冗談ぽく言うと、Aが笑いながら保冷庫へと向かって行った。
.
121人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 心菜さん» お話しに触れていただいていありがとうございます!ちょこちょこ休憩的な話を挟んでしまうがゆえに、とても長くなってしまうという…。次移行なので、またよろしくお願いします!!私は神戸インだよ!! (2019年4月23日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» もうトロントへ帰ってそうですね^^でも乙女だったなあ〜。いろいろ乙女だった。今度はいつ会えるのでしょうか。ショーには出てくれるのでしょうか!あ〜仙台行きたい! (2019年4月23日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 王女ちゃん1人でのお参りでも、国民の皆さんに喜んで貰えて良かった(^-^)色々応募しても何にも当たらない私ですが、1日乗車券は御用意頂けました。そしてFaoi幕張土日参加です (2019年4月22日 20時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ニュースで笑顔が見られましたね。束の間の実家滞在になるのかな。帰国している間にいろんなお仕事が詰まってそうですもんね。とりあえず、いい表情だったなと思いました。ここのところ情報チェックする余裕があまりなく、乗り遅れています。ゆづが元気ならそれでよし。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そんなに壮大な話にはならないんですけどね。ちょっと昌磨さんの話を書きたかっただけなのに、変な方向にいってしまって^^;これが終わったら試合です!ご本人はもう仙台についたかなー?! (2019年4月18日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2019年3月18日 19時