【三番目の意味】4 ★ ページ26
「うん。そう言うと思った。でも、ほんとのほんとは、Aを正室として迎えられてたらどんなに良かったかって思うよ。」
「……。」
これは佳菜が嫌だとかそういう意味じゃない。
それくらいの気持ちをもって、Aと向き合って生きていくという、決意のようなものだ。
「だから、Aにしてあげられないこと、全部この子にしてあげる。」
望むのなら…いや、望まなくても、俺の全てをかけて守ってあげたい。
そして地位と名誉を正しく使えるように導いてゆく。
そう優しく優しく伝えると、嬉し泣きのようにAの目が潤んだ。
「そのお言葉だけで…充分です。」
「でもここだけの話にしておいてね。」
こういう片寄った気持ちが周りに知れ渡ると、それはそれで厄介だ。
内緒だよ。という意味を込めて、頭をぽんぽんと撫でたら、ついにはAの目から涙がこぼれ落ちた。
わ…泣かせちゃったか。
俺はいつもの位置に置いてある、黄色いくまさんのティッシュカバーを掴んで、一枚引き抜く。
「ありがとうございます…。」
そしてAに差し出すのだが、その時ふと、ある違和感に気付いた。
「あれ?このティッシュカバー…。」
なんだか見た目と手触りが違う…。
前のは少し使い古された感じが否めなかったけど、これはどう見ても新品だ。
「あ…実は新しく作ったんです。」
「そうなの?!」
涙を押さえながら遠慮がちに言うAをガン見する。
色んな角度から見ても、その完成度は前のとほぼ同じだ。
「ゆづさん、前に欲しいって言われてたし…。よかったら、この子も試合に連れていって欲しいのですが…。」
いいですか?と上目遣いにお願いされて、胸がいっぱいになる。
「いいも何も、絶対連れてく。つか毎日使う。」
大好きな人が作った大切なものだ。
こんなのもらって、嬉しくない人間がどこにいる。
「嬉しいです。」
「ありがと…A。」
一希のを作ったとき、俺が欲しいって言ったの、ちゃんの覚えててくれたんだ…。
ティッシュカバーをぎゅっと抱きしめたら、まるで我が子を抱いているような気持ちになった。
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鹿(プロフ) - 心菜さん» お話しに触れていただいていありがとうございます!ちょこちょこ休憩的な話を挟んでしまうがゆえに、とても長くなってしまうという…。次移行なので、またよろしくお願いします!!私は神戸インだよ!! (2019年4月23日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» もうトロントへ帰ってそうですね^^でも乙女だったなあ〜。いろいろ乙女だった。今度はいつ会えるのでしょうか。ショーには出てくれるのでしょうか!あ〜仙台行きたい! (2019年4月23日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 王女ちゃん1人でのお参りでも、国民の皆さんに喜んで貰えて良かった(^-^)色々応募しても何にも当たらない私ですが、1日乗車券は御用意頂けました。そしてFaoi幕張土日参加です (2019年4月22日 20時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ニュースで笑顔が見られましたね。束の間の実家滞在になるのかな。帰国している間にいろんなお仕事が詰まってそうですもんね。とりあえず、いい表情だったなと思いました。ここのところ情報チェックする余裕があまりなく、乗り遅れています。ゆづが元気ならそれでよし。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そんなに壮大な話にはならないんですけどね。ちょっと昌磨さんの話を書きたかっただけなのに、変な方向にいってしまって^^;これが終わったら試合です!ご本人はもう仙台についたかなー?! (2019年4月18日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年3月18日 19時