【翡翠と珊瑚】4 ★ ページ27
Aの体調を見ながらの作業だったので、下絵に思った以上に時間がかかってしまい、午後からのインタビューを衣装のまま行うことになってしまった。
まっちーと共に慌てて来賓の間へ行くと、すでに前回と同じ記者が待っていたので、さっと握手をしてすぐに席につく。
「ごめん待たせた。」
走ってきたので簡単に身なりを整えつつ準備する。
「いえ、お忙しい中時間を作っていただきありがとうございます。…何かの公務だったのですか?」
こんな衣装のまま来たから記者も不思議に思ったのか、予想内の質問が出た。
「うん、お城便りに載せてもらおうと思って肖像画を描いてもらってたから。」
少しストレッチしながら、はっと息をはいてきちんと座り直す。
「それは大変ありがたいことです!王子さま方の近況を知ることができて、国民も皆喜ぶかと。」
「たまにはね。」
基本的に、試合やふれあいの儀でしか姿を見せないので、せめて肖像画くらいこちらから提供させてもらわなきゃ。
「ではインタビューは10分以内でよろしくお願いします。こちらが不適切と判断した質問に対しては、すみやかに止めさせていただきますので、ご理解よろしくお願いいたします。」
まっちーから諸注意が入った所で、では早速お話を…。とそのままインタビューに入ろうとした記者を、俺は右手のひらを前に出して話をストップする。
「待って、その前に大事な話があんの。」
「…?」
ペンを持ったまま凝視されながらも、伝えるのはもちろんAのことだ。
「実は…えっと〜。」
インタビュー前に話しておくと決めていたのに、いざとなったら言いにくいなと思いつつ、それでも意を決して言葉にする。
「その…側室が懐妊したので…。」
「そうなのですね!」
その一言で記者の表情がとたんに明るくなった。
「これからお城で、大臣からその発表があるんだけと、記者さんはこれからインタビューだし、先に僕から伝えておきます。」
「おめでとうございます!ついに待ち望んでいた皇子が…。」
「待たせてごめんね。そういうことだから。」
自分自身、何度も頷きながら、にやけそうになるのをこらえる。
「いつ頃お生まれに?!」
「…来年の冬かな。」
「ふむふむ…。」
記者が必死にペンを走らせている中、そう言えばちょうどスケート大会の頃かもしれないなとふと思う。
はっきりした日は分からないけど、大会前後はばたばたするかも。
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鹿(プロフ) - みなみさん» どうなるんでしょう?!フリーどうなるんでしょうか!昨日はなかなか寝付けず、今日は遅めに起きました^^;朝のニュース、ずっとイチローさんで、ちょっとがっかり!? (2019年3月23日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - サルコウが…サルコウがぁぁぁ…!点差が大きいな…。一面に書かれる言葉を気にしていたゆづだけど、全部イチローさんに持っていかれましたね。やっぱりイチロー引退には勝てないよね。そうか、イチローが引退か…。野球ファンでなくとも、結構おおきいな、これは。 (2019年3月22日 8時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 以前より、声が良くなった気がします^^そうとう使ってるなと思ったんですが…。(絶対家で歌いまくってると思われ)早く日本に帰ってこないかなー! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» すごい!現地観戦だなんて!楽しんで応援してくださいね^^帰国はまだかなー。ニュースも目が離せないですね! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっちもこっちも見るところがいっぱいあって、王子はやきもちやいちゃいますね。雪肌精のCM、素敵ですね。芝居の台詞はダメでも、ナレーションは心地よい声で向いてる気がします。引退後はあちこちから引っ張りだこでしょうね。 (2019年3月17日 19時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年2月15日 20時