【真夜中の願い】 3 ☆ ページ9
「私も…またこうしてゆづさんとお会いできて、心から嬉しいです…。」
皇子がいなければ、ニジンスキーに奪われていたであろう自分の命。
それがこれまで通り愛しい人の側で紡がれてゆくことに、運命を感じずにはいられない。
「でも、謝らなきゃ…。」
「え…。」
そんな穏やかな気持ちに浸っていると、ふと思いもよらないことを言われて、一瞬戸惑う。
謝る?一体何をだろう。
一先ずそのままゆづ王子の言葉の続きをお聞きしようと、無言のまま待っていると…。
「視察に行った時にコウノトリが言ったんだ。世継ぎを作らなきゃ未来はないって。」
「……。」
「俺…最初信じられなくて…でも、お城の屋根に巣を作ってるのを見て…。あぁ…今なんだなって思って…。」
ゆづ王子の口から意外な事実を知らされて、驚くと同時になぜ謝るのか不思議に思う。
たとえタイミングがコウノトリの指示だったとしても、今こうして幸せに浸っていられるのは、結果的には彼らのおかげということだ。
それをなぜ…。
「ゆづさん…?」
「ごめんね、なんか…。自分の意思じゃないみたいな罪悪感がちょっとあるわ…。」
お腹の子に対しても、Aに対しても…。と言われて、そこまで思い詰める必要などないのに!と叫びたくなるのをぐっと抑える。
そしてゆづ王子の背中に手を回して、あくまでも優しく、誰も責めない口調で告げる。
「ゆづさん…。過程はどうであれ、今が良ければそれでいいではありませんか。」
スケートの世界とは少し違うけど、終わり良ければ…という言葉もある。
それに理由はどうであれ、私たちが愛し合っていることには変わりないのだから。
「A…。」
「この子は、二人の愛の結晶です。それは紛れもない事実です。」
こんな真夜中に…いや、真夜中だからこそ、こんな風にお互いの思いの丈を言い合えるのかもしれないなと思いつつ…。
二人の大切な命を想いながら。
見つめ合ってどちらからともなくキスをした。
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鹿(プロフ) - 智枝さん» ありがとうございます!!!!私はほぼ毎日よその小説を読み漁っているので、普通はたまに読むものなんですね〜。妄想は^^しかし全部のチケットを持っているとは…。おぬし何者!?私はFaoi参戦だから! (2019年2月15日 19時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 超絶久しぶりに来たああああ!進みすぎて追い付くまで時間が必要だぜ。お話の感想は読んでからしやす(笑)とりま、明日のせせん公式練習のチケ取りがんばる!ちなみにせせんはオールイベントチケで全日観戦しやすv(^ω^)v (2019年2月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» けんかじゃないので、すぐに元通りになりそうですね^^はやく来季の試合を書かねばならないのですが、まだそこまでたどり着かないという…。四大陸の結果もちらほら入ってますね!みんながんばー! (2019年2月8日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 王子の感情は羽に現れるのですね。王女にはバレバレ。視察が終わったら、もう帰りの馬車で仲直りできそうな気がしますが、どうでしょうか?明日から四大陸選手権。女子たち頑張れ!あと、友野くんに期待です。刑事くんも自分に負けるな!昌磨は強気で優勝だ! (2019年2月8日 1時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そうですね!行ったり来たりしてもらいます!前回は羽生さんがペットを飼ったらこんな感じかなあ〜って書きました^^けっこうドSに攻めそうじゃないですか?着々と主従関係ができてます! (2019年2月4日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年1月5日 13時