【東へ】6 ☆ ページ6
「そう言えばシロとフェイさんも同行って…。」
ふと、何故か付いてくることになっている二匹を思い出す。
辺りを見渡しても姿はないけど、ここにいないということはこっそり別行動なのかな。ともあれ、二匹ともたくましいから問題なく魔女の元までたどり着くだろう。
一人納得していたら、突然周りのざわざわした空気がおさまって、使用人たちが一斉に整列し始める。
きっと王子さまたちが来られたんだなと思い、私も迎えるために姿勢を正すと、案の定、少し遠くから凛とした声が聞こえてきた。
「樹、定刻より少し早めの出発を。荷物の積み込みは急がせないで確実に正確に。」
「承知いたしました。」
歩きながらあれこれ指示を出すゆづ王子の後ろには正室の佳菜子さま。
二人が馬車口に来られたということは、そろそろ出発かな。
「A、待たせた。」
「いえ、とんでもないです。」
私の前まで来られたので、軽く頭を下げて出迎えるのだけど、私が顔を上げた瞬間、ふと視界一杯に水色のきらきらした光が広がって思わず息を飲む。
「ゆづさん、これは…。」
それはゆづ王子が見たことのない衣装を身にまとっていたから。
「あぁこれ？オトナル。急遽ジョニーに作ってもらったの。」
「ジョニーさんに…。」
ということは、新しいお衣装…。
「魔女んとこいくから、ばっちりキメたいじゃん。」
袖をそっと撫でながら、ゆづ王子が、るんっとした笑顔で言う。
…素敵。良く見たら、背中に氷の結晶のようなビーズがたくさん付いてる…。
これぞまさしく氷の国の王子さまだ…。
「自分だけずるくない？佳菜とAのも頼んでくれたらよかったのに。」
不意に後ろから佳菜子さまが、口を尖らせて残念そうに言う。
やっぱり女性だから衣装には敏感なのかな。
「今回はあんま時間がなかったんだよ。また今度二人にはドレスをプレゼントするから。」
「本当に？！やった、佳菜次のジプシーダンスの衣装でいいアイデアがあってさぁ…。」
あっという間に機嫌がなおった佳菜子さま。
今回のお出かけは楽しくなりそうだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - suzuranさん» 最近お話がぽんぽん進んでしまうので、ゆっくり更新したいのですが、ここで止めると怒られそうで、いつもついつい更新してしまいます＾＾；書きたいことがはっきりしている時はたくさん進むんですが、一区切りついてしまうと難しいですね。 (2019年1月2日 20時) (
レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» 誰もが羽生さんの幸せを願ってる＾＾それはまだ結婚とかではないのかもしれないけど、いつかは結婚して欲しいなあ〜と思いながら日々書いています。主人公との再会はもう少しあと…かなあ？ (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
suzuran(プロフ) - あけましておめでとうございます！ たくさんの更新ありがとうございます(^^) ゆっくり気長に4A待ちましょう！ 予想の斜め上を行くお方ですから、今年もたくさん驚かされるんだろうなぁ。 (2019年1月2日 8時) (レス) id: 4f2407ab74 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - あけおめです！魔王に乗っ取られなく一安心。王子と主人公ちゃん再会できてないんですもんね。早く安心できるといいなぁ。更新早くて嬉しいです。寝る前に読むのが楽しみです(^^)/今年も羽生さんにとって幸せになる年になることを願います！ (2019年1月1日 22時) (レス) id: 9a360f115b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 昨年はたくさんのコメントありがとうございました！とても励みになりました。最近オリジン脳になってて、もうアニメキャラのようになっています＾＾；このお話が終わったら…どうしようかな〜〜 (2019年1月1日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2018年12月6日 17時
