検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:55,505 hit

【生きたい】4 ★ ページ43

★ゆづサイド

ニジンスキーの首の後ろが俺のと重なった瞬間、そこから熱が波紋のように全身に広がっていくのが分かった。

「熱い…!」

刺すような痛みが首の後ろに集中して、思わず手で押さえたくなる。

…でもこの感覚、前にどこかで経験したことがある気がして、薄れゆく意識の中、思い出そうと必死に自分を奮い起たせる。

「あれは…確か…。」

こんな時、今までスケートで培ってきた経験が役に立つ。
誰にも負けない強靭な精神力は、絶対に崩されない技術の上に成り立つのだ。
いつだって、自分はできると。

そんな中、自分の意思ではない力で口が開いた。


“き…き…”


自分の声なのに、しゃべっているのはニジンスキーか。
とにかく、例え様のない摩訶不思議な感覚だ。

そして心臓が、ドゥンドゥンと二回波打った瞬間、今度ははっきりと意味のある言葉を紡いだ。


“き…狐だあぁーー!!!!”


その瞬間、身体からすーっと何か重たいものが出ていく。
そして目の前に、再び実体のあるニジンスキーが現れると、俺にまとわりついていた足かせが消えてなくなった。


“お…お前の中に狐がいる!僕の大嫌いな狐が!!”


苦しそうに喉を押さえて咳き込むニジンスキーとは反対に、だんだん自由になってゆく自分の身体を確かめるように手のひらを何度か握る。

元に戻ったのか…。
慎重に、しっかり力が入ることを確認してから、俺は目の前の魔物を見据えた。


“こんな身体と同化などできるものか!汚(けが)れてしまう!!”


そしてハァハァと荒い息をする姿を見ながら、なぜこうなったかを考える。

【生きたい】5 ★→←【生きたい】3 ☆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鹿(プロフ) - suzuranさん» 最近お話がぽんぽん進んでしまうので、ゆっくり更新したいのですが、ここで止めると怒られそうで、いつもついつい更新してしまいます^^;書きたいことがはっきりしている時はたくさん進むんですが、一区切りついてしまうと難しいですね。 (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» 誰もが羽生さんの幸せを願ってる^^それはまだ結婚とかではないのかもしれないけど、いつかは結婚して欲しいなあ〜と思いながら日々書いています。主人公との再会はもう少しあと…かなあ? (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
suzuran(プロフ) - あけましておめでとうございます! たくさんの更新ありがとうございます(^^) ゆっくり気長に4A待ちましょう! 予想の斜め上を行くお方ですから、今年もたくさん驚かされるんだろうなぁ。 (2019年1月2日 8時) (レス) id: 4f2407ab74 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - あけおめです!魔王に乗っ取られなく一安心。王子と主人公ちゃん再会できてないんですもんね。早く安心できるといいなぁ。更新早くて嬉しいです。寝る前に読むのが楽しみです(^^)/今年も羽生さんにとって幸せになる年になることを願います! (2019年1月1日 22時) (レス) id: 9a360f115b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 昨年はたくさんのコメントありがとうございました!とても励みになりました。最近オリジン脳になってて、もうアニメキャラのようになっています^^;このお話が終わったら…どうしようかな〜〜 (2019年1月1日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2018年12月6日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。