【ティーパーティー】1 ☆ ページ12
☆主人公サイド
せっかく魔女さんのお屋敷へやってきたのにパーティーが中止になってしまって、流れからお庭でアフタヌーンティーをすることになった。
でも私にとって、ここでの全ての出来事が初めての経験で、さっきから驚きの連続だ。
今でさえ、みんなで外へ出てくると、さっきまで影も形もなかったお庭に、テーブルや椅子、それにかわいい花柄のテーブルクロスがセットされているし、おまけにケーキスタンドには、ケーキやスコーン、サンドイッチまであって魔法ってなんて素晴らしいんだろうと単純に思う。
「素敵…。」
「ここにまっちーからもらったスイーツも並べて…。」
私が見とれていると、魔女の美姫さんが魔法で手際よくポットに入った紅茶と、その隣に手土産のチーズタルトを並べてくれる。
「違うから。俺からのお土産だからそれ。」
ふと唐突に、ずっと私の隣にいるゆづ王子が少し怒ったように指を差す。
なんだかさっきから二人のやり取りが痴話喧嘩のようで、その佳菜子さまとはちょっと違う微妙な雰囲気に、ひょっとして犬猿の仲なのかな、と私は苦笑いばかりしてしまうのだ。
「どうせ選んだのまっちーでしょ。ゆづが流行りに敏感なわけないじゃん。」
「……。」
そして最後はいつもゆづ王子が言い負かされる。
「さぁ座って座って!」
ともあれ、美姫さんに席を指定されながら四人でテーブルを囲うように座ると、私はゆづ王子と美姫さんに挟まれる位置になって、しかも、右を向けば至近距離に肩に乗ったクワドくんがいるという眺めに、ちょっと緊張する。
「わぁー!美味しそう!!」
ふと、向かいの佳菜子さまが前のめりでお菓子や食べ物を眺めながら、味見〜!と早速チョコレートを一つ口に含んだ。
「佳菜、お前今日喰ってばっかだな。太るぞ。」
「ゆづのそのデリカシーのない言い方がイラッとする。」
「……。」
わぁ…こっちでも不穏な空気が…。
「相変わらず喧嘩ばっかしてんだ。」
「喧嘩じゃない。俺が一方的に言われてるだけだから。」
「ゆづは私の前ではいっつもトゲトゲしてるからねー。」
リラックスすればいいのに。と美姫さんがみんなに紅茶を注ぐと、辺りにとても良い香りが漂う。
アールグレイかな…。そっとカップをのぞくと、ミルクが合いそうな濃いルビー色をしている。
きれい…。
風のにおいといい、空の色といい、全てが春らしくて、こんな穏やかな気分もとても久しぶりだなと思いながら、隣のゆづ王子を見つめた。
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鹿(プロフ) - suzuranさん» 最近お話がぽんぽん進んでしまうので、ゆっくり更新したいのですが、ここで止めると怒られそうで、いつもついつい更新してしまいます^^;書きたいことがはっきりしている時はたくさん進むんですが、一区切りついてしまうと難しいですね。 (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» 誰もが羽生さんの幸せを願ってる^^それはまだ結婚とかではないのかもしれないけど、いつかは結婚して欲しいなあ〜と思いながら日々書いています。主人公との再会はもう少しあと…かなあ? (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
suzuran(プロフ) - あけましておめでとうございます! たくさんの更新ありがとうございます(^^) ゆっくり気長に4A待ちましょう! 予想の斜め上を行くお方ですから、今年もたくさん驚かされるんだろうなぁ。 (2019年1月2日 8時) (レス) id: 4f2407ab74 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - あけおめです!魔王に乗っ取られなく一安心。王子と主人公ちゃん再会できてないんですもんね。早く安心できるといいなぁ。更新早くて嬉しいです。寝る前に読むのが楽しみです(^^)/今年も羽生さんにとって幸せになる年になることを願います! (2019年1月1日 22時) (レス) id: 9a360f115b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 昨年はたくさんのコメントありがとうございました!とても励みになりました。最近オリジン脳になってて、もうアニメキャラのようになっています^^;このお話が終わったら…どうしようかな〜〜 (2019年1月1日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2018年12月6日 17時