【魔女との再会】5 ★ ページ11
「帰りたいんだけど。」
「そうなの。じゃあゆづ一人でどうぞ。」
「……。」
すると想像通りのすっごく冷たい返事が返ってきた。
「私は佳菜子やAちゃんとおしゃべりしたかったの。ゆづはおまけだよ。」
「おまけ…。」
一国の主に対しておまけって…。
その一言に、俺は呆気にとられつつ、佳菜は笑いを耐え、Aは絶句している。
「ねぇAちゃん、この子かわいいと思わない?」
そしてまた、俺を無視した会話が進んでゆく。
「は、はい。えっと、珍しいトカゲさんですね。」
「そうなの!この辺には生息してなくて、わざわざ地球の反対側から取り寄せたの。良かったら触ってみて?」
「……。」
言われるがまま、Aがそっとトーマストゲオアガマのクワドくんに指を伸ばす。
「ちょっと!噛みつかれるから!」
さすがにそれはまずいと思った俺は、すぐさま上座から飛び降りてAの側へ駆け寄る。
「大丈夫だって。クワドくんはおとなしいから噛みついたりしないよ。」
それでも心配だからクワドくんとAの間にさっと割って入った。
「ゆづさん…。」
「ガーデンでお茶するんでしょ。早くしよう。」
そしてやることやってさっさと帰ろう。
「あはは!必死だねー。」
「まっちー、お土産のスイーツを美姫さんに。さぁ外行こ外。」
佳菜の笑い声を背に受けながら、Aの手をさっと引いて入ってきた扉の方へ向かう。
「え、どんなの?まっちー見せて!」
「今回は抹茶とチョコのチーズタルトです。」
どうぞ。と手渡すと美姫さんのテンションが上がった。
「抹茶なんて渋いね!じゃあ早速アフタヌーンティーの準備しよー。」
そして機嫌よく、くるっと回りながら指で庭の方を指差すジェスチャーをすると、指先から不思議な光が放たれて、蛇が空を飛ぶような道筋を残しながら窓を伝って外へ出ていく。
「わぁ…。」
初めて魔法を目の当たりにしたAが驚きつつ窓の外をのぞくと、花に囲まれたきれいな庭に、もうすっかりお茶の準備が整っていた。
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鹿(プロフ) - suzuranさん» 最近お話がぽんぽん進んでしまうので、ゆっくり更新したいのですが、ここで止めると怒られそうで、いつもついつい更新してしまいます^^;書きたいことがはっきりしている時はたくさん進むんですが、一区切りついてしまうと難しいですね。 (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» 誰もが羽生さんの幸せを願ってる^^それはまだ結婚とかではないのかもしれないけど、いつかは結婚して欲しいなあ〜と思いながら日々書いています。主人公との再会はもう少しあと…かなあ? (2019年1月2日 20時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
suzuran(プロフ) - あけましておめでとうございます! たくさんの更新ありがとうございます(^^) ゆっくり気長に4A待ちましょう! 予想の斜め上を行くお方ですから、今年もたくさん驚かされるんだろうなぁ。 (2019年1月2日 8時) (レス) id: 4f2407ab74 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - あけおめです!魔王に乗っ取られなく一安心。王子と主人公ちゃん再会できてないんですもんね。早く安心できるといいなぁ。更新早くて嬉しいです。寝る前に読むのが楽しみです(^^)/今年も羽生さんにとって幸せになる年になることを願います! (2019年1月1日 22時) (レス) id: 9a360f115b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 昨年はたくさんのコメントありがとうございました!とても励みになりました。最近オリジン脳になってて、もうアニメキャラのようになっています^^;このお話が終わったら…どうしようかな〜〜 (2019年1月1日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2018年12月6日 17時