検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:62,924 hit

【スケート教室】5 ☆ ページ24

数分の間に女の子の周りには大人たちが集まっていた。
だけど、やっぱり無理強いは逆効果で、ついにはお母さんの出番になってしまう。

「すみません…。ほら、あっちで見学してよう。」

お母さんが女の子を抱きかかえようと手を伸ばす。

「ね、せっかく来たんだから、もうちょっと頑張ろ。佳菜が抱っこしたげようか。」

最後まで励まし続ける佳菜子さまなのだけど、触れようとするだけで女の子は泣き叫んでしまう。
きっと緊張してるのと怖いのとでパニックなのだろう。

…ゆづさん、まだかな。
このままじゃせっかくのスケート教室がつらい思い出になっちゃうよ…。
心配しつつ辺りを見渡していると…。

突然リンクサイドの敷られたカーテンがばさっと開いて、奥から黒くて細身の男性が出てくる。
その人物が軽快に鳴らすスケート靴の音が会場に響くと同時に、それに気づいた子供たちの保護者が一斉に沸いた。

「キャー!」

あちこちから歓喜の悲鳴が上がる中、リンクにいる全員の視線を浴びながら、まずゆづ王子が丁寧に客席に向かってお辞儀をする。

「ゆづ王子だ!」

そしてリンクで騒ぎだす子供たちに笑顔を返しながら、エッジカバーをはずし氷に手をついた後、真っ先に向かうのは壁にくっついている女の子の元。

「どーしちゃったのかな?」

他の大人たちが心配そうに見守りつつも、ゆづ王子がシュッとその場に屈んで優しく声をかける。
ちなみに佳菜子さまは少し口を尖らせているようだ。

「ゆづおーじ…?」

「君に呼ばれたから来たの。ほら、立てる?」

そう言って、おいで。と両手で持ち上げるように女の子を立たせた。

「わぁ…。」

「そのまま歩くみたいにすればいいから。手つなぐ?」

「……。」

無言でゆづ王子の手をとる女の子を、そのまますーっとみんなのいる場所まで引っ張っていく。

その無駄のない動きに、周りの関係者や保護者から安堵のため息がもれた。

【スケート教室】6 ★→←【スケート教室】4 ☆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
155人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鹿(プロフ) - あおさん» 表記の問題ですね。おそらく日本語にしたらどっちでもよさそうですが、そこはあまりこだわってませんでした笑 (2019年1月8日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - あおさん» うちはだいたいアップライトだから1時間くらいで書いてしまいましたがグランドはその分時間がかかるんですかねー。^^きっとそうなんでしょうね〜。こだわりはあったほうがいいですね! (2019年1月8日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
あお - て、33ページとかの、チゴイネルワイゼンじゃなくて、ツィゴイネルワイゼンでは?? (2019年1月8日 9時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
あお - 家にあるグランドピアノ四時間もかけて調律していただいているのですが(笑)こだわりが強すぎ?(笑)(5ページ目をみての感想(笑)) (2019年1月8日 8時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» ラブラブ期間中です^^なんかファンタジーっていくらでも話が続きます。ちょっとありえないこと書けるし。楽しいな〜って思います。明日はもうスケートが楽しみすぎて、音楽祭どころではない!! (2018年11月2日 13時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2018年9月24日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。