【欲しいもの】9 ☆ ページ18
「そうだな〜。あえて言うなら楽しい子…かな。」
「楽しい子…。」
「あ、それにすごく友達思いで優しい!」
「……。」
友達思い…。
それってゆづ王子とカオリさんがお友達になったということだろうか。
良いイメージばかりでいまいち人物像を掴めないでいると、不意にゆづ王子が何かを思い出したかのように、持っているお箸を置いて前のめりになった。
「そだ。ねぇA、にがうり草って知ってる?」
「え。」
にがうり草…。
突然話が飛躍したので私もなんとなく食事を中断する。
「太陽の国にしかないって聞いたんだけど…。」
知らない?とまた小首をかしげながら尋ねられる。
「それはもちろん知っていますが…。」
「よかったぁ!それ欲しいんだよ。出来ればたーくさん。」
ゆづ王子が子供のような仕草で宙に大きな丸を描いた。
「一体どうされるんですか?」
そもそもなぜゆづ王子の口からにがうり草が?と不思議に思っていると、またあまり聞きたくない名前が出てくる。
「カオリさんへのお礼にするの。」
「カオリさんの…。」
つまりゆづ王子がおっしゃるには、にがうり草自体をピアノ演奏の報酬としてお渡ししたいということらしい。
「ね、頼むよ。Aの力でなんとかならないかな〜。」
「そうですね…。」
困った…。
にがうり草は太陽の国でもとても貴重な薬草の一つで、一株単位で国によって厳重に管理されている。
それをおいそれと他国の庶民に与えるとなると、果たして許可が下りるかどうか…。
「ひょっとしてだめなの?」
私が言いごもっていると、ゆづ王子に心配そうに顔をのぞき込まれる。
「だめと言うか、きっと無理だと思います。」
大義名分がなければ、おそらく国から持ち出すことすらできないだろう。
「えー…なんで?」
「たくさん取れる薬草ではないので、とても高価なんです。王族か貴族の、ごく限られた身分でないと…。」
差別とかではないけど実際そうだから仕方ない。
「A王族じゃん。」
「それでもそれなりの理由が必要です。ピアノ演奏の報酬などでは、とても通りません。」
昔は自由に譲渡することができたらしいけど、今は数も少なくなって取り扱いがとても厳しいのだ。
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鹿(プロフ) - あおさん» 表記の問題ですね。おそらく日本語にしたらどっちでもよさそうですが、そこはあまりこだわってませんでした笑 (2019年1月8日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - あおさん» うちはだいたいアップライトだから1時間くらいで書いてしまいましたがグランドはその分時間がかかるんですかねー。^^きっとそうなんでしょうね〜。こだわりはあったほうがいいですね! (2019年1月8日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
あお - て、33ページとかの、チゴイネルワイゼンじゃなくて、ツィゴイネルワイゼンでは?? (2019年1月8日 9時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
あお - 家にあるグランドピアノ四時間もかけて調律していただいているのですが(笑)こだわりが強すぎ?(笑)(5ページ目をみての感想(笑)) (2019年1月8日 8時) (レス) id: 9b31bd131c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» ラブラブ期間中です^^なんかファンタジーっていくらでも話が続きます。ちょっとありえないこと書けるし。楽しいな〜って思います。明日はもうスケートが楽しみすぎて、音楽祭どころではない!! (2018年11月2日 13時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2018年9月24日 10時