氷の国15

【アイスクリーム】7　☆ ページ7

「美味しいです…。」

「違うって。そこは、ゆづさんに食べさせてもらって１００倍美味しいって言わなきゃ。」

「セリフの指定があるんですか？！」

「個人的に聞きたいだけ。」

「……。」

これ、ドＳモードなのでは…。

「俺的にはデートだからこれ。」

餌付けかよ。と独り言を言いながら、再びアイスクリームをスプーンですくって、はい。と差し出される。
私はそれをまた口に含んで…。

「…ゆづさんに食べさせてもらえて、１００倍美味しいです。」

「あは！だよね！」

ふふふ。と笑ったと思ったら、なんと残っていた私のアイスクリームを全部食べてしまった。

「それ私の…！」

「あ、ごめーん。美味しそうだったからつい食べちゃった。」

悪びれる様子もなく空になった器をテーブルに置く。

「まだ三口しか食べてなかったのに…。」

「今度ご馳走するから。」

ね？とかわいく言われた瞬間、私は咄嗟にひらめいた。

「じゃあ、雪解けまつりでアイスクリーム買ってください…。」

「え、雪解けまつりで？！」

ゆづ王子から、さっきまでの余裕の表情が消える。
ちょっと悔しかったので、少し無理なお願いをしてみたのだけど…。

「連れてってくださるんですよね？」

ジョニーさんの前でした約束。
じーっと上目遣いで見つめると、ゆづ王子が腕を組んで上を見上げてしまった。
だめだったかな…。

「あー…うん、アイスクリーム…。」

悩んでる…。
やっぱり王子さまにアイスクリームを買わせるなんてあり得ないことだし、取り消した方がいいかな…。

「無理ならいいですよ、別に…。」

残念だけど、仕方ないなと思っていると…。

「いや、わかった。ちょーっと難しいけど…うん大丈夫。かわいい奥さんの頼みだから。マーケットで売ってるやつでいい？」

なんとオッケーの返事をいただけて一気にテンションが上がる。

「はい、ありがとうございます！」

やった！一度普通のデートみたいな事をしてみたかったんだ！

一人喜んでいると、不意にゆづ王子が、だったらさ。と私の浮かれた思考を遮った。

「俺もお願いあんの。聞いてくれる？」

また小首をかしげて、かわいく尋ねられる。
なんだろう…。

「私に出来ることなら、お聞きしますが…。」

そもそもそんなことあるのか謎だけど。

「うん。じゃあA、これから一緒にスケートしない？」

…へ？




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