【不安】5 ★ ページ42
“必ず、お聞き届けください”
「あ、待って!」
突然ばさりと大きな羽が揺れる。
立ち上がって手を伸ばしたけど、コウノトリは暗い空に消えてしまった。
「何なの…。」
寒さを忘れてしばらくの間立ち尽くす。
そして今言われたことを頭の中で整理しつつも、上手くまとまらなくて身体がふわふわする。
俺の身体に異変って…それに国が途絶えるだなんて、本当に?
これは信じた方がいいのだろうか。
それともこれは夢か幻で、何かの冗談…。
今聞いたことに判断がつかないまま、俺はコウノトリか消えた夜の空を呆然と見つめていた。
次の日。俺は朝食を終えてすぐに建物の外へ出た。
護衛には散歩だよと言ったものの、理由はもちろん、昨夜のコウノトリにもう一度会うためだ。
「どこかな〜…。」
空や地面を探すけど、そもそもコウノトリなんてみんな似たような顔だ。
でもオーラとか雰囲気で見分けられるのではないかと期待しつつ、時間だけが過ぎていく。
ともかく、万が一。あのコウノトリが言ってたことが本当で、俺の身体に何らかのアクシデントがおこるのなら、あの子の言う通り世継ぎを考えなきゃいけないだろう。
それが命に係わることなのか、それとも全く違うことなのかは分からない。
ただ今はあのコウノトリになんとか事の真意を…。
「結弦王子!」
「……。」
頭をフル回転させていると、遠くから声がして反射的に振り返る。
どうやらまっちーがこっちに向かって走ってきているようで、そのまま俺の側へ来て今日の申し送りを伝えられる。
「王子、本日はこれから国立公園化についての意見交換がありますのであちらにお集まりください。」
そうだ。ここを自然公園に整備して飼育と繁殖を行うための話し合いがあるんだった。
ここらへんはまっちーに任せていたので何も考えてなかった。
「そうなの…。まっちー、悪いけど俺抜きでやってもらっていいかな。」
申し訳ないが、昨夜のことが頭を離れなくて、正直意見交換どころじゃない。
ひょっとしたら自分の身体に良くないことが訪れるのではないかという漠然とした不安の中で、公務なんて出来るはずもない。
「王子…?」
俺のいつもと違う雰囲気を察してくれたのか、まっちーが一歩下がる。
気の利いた言い訳も、今は何も思い付かない。
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鹿(プロフ) - 心菜さん» 羽生さん大変^^;でも、若いから大丈夫っぽい!金沢の楽はいろいろ変なことがあったけど、本人でもないのに、なんでそんなに想像するのかな〜という感じ。ま、こんなん書いてる時点で私が一番アウトですけども! (2018年6月5日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 神戸、静岡はアーティストが代わるので別プロですね。7/1がFaOIオーラスで翌日授賞式。忙しい〜(><)クワド跳んでくれるのは嬉しいけど、ステイヘルシーで! (2018年6月3日 15時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ショーに授賞式に忙しいですね。練習大乗かなー。リハビリになっていいかも?このお話も長く続きすぎて、飽きられてるかなーとおもう今日この頃。次のお話も決まってないし、もう少しお付き合いください〜^^; (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 羽生さんの幸せだけをただ願っています^^お話に触れてくれてありがとうございます〜。次移行なので、もう少しお待ちください〜〜 (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» そんな近くで羽生さんを!すごい…。神戸公演では、また違うプログラムなのかなーと勝手に思っているのですが、昨日はついに4回転でましたね!^^ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2018年4月5日 18時