氷の国13

【祝勝会】4　★ ページ4

「ではまず一希くんから一言いただいては？」

「そうね、そうしよ。」

Aから良い提案がでたので、俺は一希にその場で立つように促す。
今日の主役だし、まずは一希の挨拶から始めよう。

「なんか恥ずかしいです。」

「三人しかいないじゃん。ギャラリーは試合より全然少ねーぞ。」

頑張れ！と俺がさらに手を叩いて煽ると、Aもパチパチとのってくれる。

「じゃあ…。まずはえっと、今日は優勝できて最高に嬉しいです！」

「ひゅー！」

ちなみに盛り上げる時も全力な俺だ。

「三人で勝ち取った勝利です。ありがとうございます！」

本当に簡単な挨拶をして、頭を深々と下げて席につく。

「いやぁ〜、俺のおかげじゃない？」

腕を組んでどやっていると一希が…。

「教え方はドＳでしたけどね。」

ちょっと本音を言もらした。
なんだか悔しいのでダメ出しをしてやろう。

「あ、前から思ってたんだけどさ。お前インタビューとかもっと勉強しろよな。」

「え、だめでした？」

「だめくないけど、上手く話すことによってファンだってつくし、良い記事書いてもらえるの。また書かれることによって自分史が出来るし、モチベーションや責任感にも繋がる。」

少し頭を使うだけでなんでも利用できるし、良いことづくめだよと今後のアドバイスする。

「え〜…。それってコーチだけじゃないです？」

「そうかもしんないけど、一希にもぜひやってもらいたい。あ、その為にはボイストレーニングも視野に入れて…。」

「ボイストレーニング？」

「ちょっとでも皆が聞き取りやすいような声作りをだな。」

そうだ。これからのトレーニングとして発声練習も取り入れた方がいいか。

「ゆづ王子、話が脱線していますよ？」

「ん？」

真面目に考えてたのに、Aに小声で注意されてしまった。

「でもコーチとは今回だけの約束だから、また次のコーチ探さなきゃ…。」

ふと一希からテンションの下がった発言が…。でもそれはいらぬ心配だ。

「大丈夫。優勝したんだし、色んな所から声がかかるから。」

そこは経験上はっきり言っておく。金メダルはそれほどの力を持っているのだ。

「ひょっとして次、お二人は同じ試合で戦うのですか？」

するとAから最もな質問が出たので、そういえば来季はどうするのかなと一希の顔をうかがうと…。

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