氷の国13

【置物】4　★ ページ27

★ゆづサイド

「王子さま、到着いたしました。」

雪もお城の周辺に比べたら少し少ないですね。とまっちーが停車した馬車の外から続けて声をかけてくる。

「はーい。」

さっきから俺と昌磨とさっとんの三人で、まるで遠足に来たようにおしゃべりしながら風景を見ていたので、ここが豊かな田園地帯なのはわかっていた。

まずさっとんと昌磨に降りてもらって、俺はその後に。
外へ出ると冷たい空気が頬を刺すのは、想像していた通りで仕方のないことだけど…。

「寒い…。」

「でもこの服あったかいよね。」

震えるさっとんの側で、昌磨が雪を踏みしめながら言う。
今回は公務ということもあって、防寒着は全員分こちらで用意したものを着ているのだけど、これがなかなか…目立つ。

「エンジ？ほぼオレンジだけどな。」

明るめのエンジ系のダウンに紺のズボンと白いブーツ。
ボーダー柄のマフラーとニット帽までお揃いでコーディネートされた特別なものらしい。

「なんだかチームみたい…。」

「ユニホームっぽいし？」

手袋で頬っぺたをすりすりしているさっとんと、子供みたいにはしゃいでいる昌磨を微笑ましく見ていると、出迎えの人が数人近寄ってきた。

「王子さま、この度はこのような所へようこそおいでくださいました。」

同行しているお城の関係者が荷卸しをしている中、村人の期待に満ちている表情がとてもうれしそうに見える。
よほどコウノトリの保護を望んでいたんだろうか。

「初めまして。今回はコウノトリの未来を確固たるものにするために、みんなにも協力してもらうつもりで来たからよろしくね。」

ここの村民がメインとなって保護活動が出来るように。あくまでお城はサポート的な立場で手助けしていくよう努めるつもりだ。

一先ずこの場でそれぞれが自己紹介をし、握手をしながら和やかな雰囲気で初対面を終える。

「さぁ、この後少し休憩をして、現地住民の方の説明と現状報告があります。建物の中へ移動しましょう。」

まっちーが先陣をきって皆を誘導してくれるのだけど、よほどコウノトリに興味があるのか自然保護の精神なのかはわからないが、気合いが入っているように見えるのは気のせいか。

「わぁ、知子ちゃん見て？あの鳥がコウノトリなのかな。」

歩いて移動し始めると、みんなの頭上をそこそこ大きな鳥が通過したので、当然全員が空を見上げる。

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