検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:78,517 hit

【置物】1 ☆ ページ24

☆主人公サイド

「あーあ、行ってしまわれた…。」

午前中にゆづ王子と昌磨さま、それに知子さんとまっちーさんをコウノトリの視察に見送ってからというもの、私の心はひどく落ち込んでいた。

昨日は高志郎が国へ帰っちゃったし、お城の中もなんだか散々としている気がする。

「Aさま、さっきからため息ばかりですね。」

「……。」

久しぶりに一緒に昼食をと、私の部屋で準備してくれている真凜にあきれられつつも、実際そうだから返す言葉もない。

「たったの一日じゃないですか。」

「そうだけど…。」

結婚後初めての夫の泊まりでの公務なのだ。
自分が離れるのとは訳が違う。

それに、また嵐が来て立ち往生…なんてことにならないとも限らない。

「今回ゆづ王子が行かれる場所は北の塔ほど僻地ではないですし、距離的にも近い方ですから。」

さっきから真凜が何度も励ましてくれるのだけど、私の気持ちはなかなか晴れない。
とくれば、例のものに頼らざるを得ないではないか。

「もうだめ、あれ持ってこよう。」

椅子から立ち上がって小走りに向かうのは私に与えられたプライベートな部屋。
そして引き出しの奥にしまっている平たいものを持って、再びリビングへと戻る。

それをテーブルに飾ったら、その気配に振り向いた真凜が一言。

「もうそれの出番ですか?!」

「いいじゃない。落ち着くんだから。」

私が持ってきたのは勿論画廊で買ったゆづ王子の美しい肖像画だ。
これが側にあるだけでさっきまでの重苦しい気持ちが幾分軽くなる。
こんなことならもっと早く出せばよかった。

「もう完全にファンですね…。」

「妻である前にファンだよ。認めるけど。」

もうこの心情や本質は城下のファンとさほど変わらないのではないかと思う。
ゆづ王子を思う気持ちはみんな一緒なのだ。

ただ運のいいことに、私は妻になれただけ。

【置物】2 ☆→←【カブトムシ】9 ★



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
171人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鹿(プロフ) - 心菜さん» 羽生さん大変^^;でも、若いから大丈夫っぽい!金沢の楽はいろいろ変なことがあったけど、本人でもないのに、なんでそんなに想像するのかな〜という感じ。ま、こんなん書いてる時点で私が一番アウトですけども! (2018年6月5日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 神戸、静岡はアーティストが代わるので別プロですね。7/1がFaOIオーラスで翌日授賞式。忙しい〜(><)クワド跳んでくれるのは嬉しいけど、ステイヘルシーで! (2018年6月3日 15時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ショーに授賞式に忙しいですね。練習大乗かなー。リハビリになっていいかも?このお話も長く続きすぎて、飽きられてるかなーとおもう今日この頃。次のお話も決まってないし、もう少しお付き合いください〜^^; (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 羽生さんの幸せだけをただ願っています^^お話に触れてくれてありがとうございます〜。次移行なので、もう少しお待ちください〜〜 (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» そんな近くで羽生さんを!すごい…。神戸公演では、また違うプログラムなのかなーと勝手に思っているのですが、昨日はついに4回転でましたね!^^ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2018年4月5日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。