【カブトムシ】7 ★ ページ21
「大丈夫だって。初心者がいるだけで場がなごむし。選手の練習なんて一人の世界に入っちゃうから、むしろ遊び感覚の方がデートっぽくていいよ。」
「だといいですけど。」
「それより二人は?うまくいってた?」
ちょっとにじり寄るようにソファーの間隔をつめてAに尋ねる。
せっかくまたこの国へ来たのだから、出来れば仲が進展して欲しい。
「えぇ。終始仲睦まじく。女の私が言うのも何ですが、知子さんは本当にかわいらしくて…。一度段ボールに入って顔をのぞかせて欲しいくらいです。」
「え、段ボール?」
「かわいいです…。」
Aが珍しくにやけている。
段ボールがかわいいとかよくわかんねーなと思いつつも、ちょっとからかってやろうかと、意地悪な質問をしてみた。
「俺達とどっちが仲良し?」
「ほぇ?!」
すると案の定、びっくりした表情になって目を見開く。
「ねぇ、どっち〜?」
猫がすり寄るみたいにAの肩に顔をうずめていくと、お風呂上がりの良いにおいが鼻について思わず手が伸びそうになる。
「それは…えっと…。」
戸惑うAを上目遣いでちらっと見たら、本気で困っているその表情がかわいくて、俺はそっと手を伸ばして少し強引に自分の方を向かせた。
「A…。」
そして斜め下からの角度がさらに猫っぽいなと思いながら、そのまま唇を近付けてキスをする。
「ゆづさん…。」
Aといつでもこんな風にキスできることに、たまらなく喜びを感じながらも、ふと俺の頭の中をさっき高志郎に言われた事柄がよぎった。
「ね、A。最初俺の奥さんになる予定だったのって、別の人だったんだってね。」
これは決して嫌味などではなく、ただ単に結果論としてAが今どう思っているのか聞きたくなって口から出ただけなのだが…。
「高志郎から聞いたんですね。」
ごく自然に返されて、これはやぶ蛇じゃなかったなと思いつつも、さらに続ける。
「うん。もしAじゃなかったら…って、つまんないこと考えちゃったの。」
頬に触れてあえて慈しむように撫でると、Aが目を閉じてぽつりと言葉を発した。
「私は、いとこの姉が断ってくれたことを運命だと思って…。とても感謝しています。」
俺の手に自分の手を重ねて、本当に幸せそうに言ってくれた。
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鹿(プロフ) - 心菜さん» 羽生さん大変^^;でも、若いから大丈夫っぽい!金沢の楽はいろいろ変なことがあったけど、本人でもないのに、なんでそんなに想像するのかな〜という感じ。ま、こんなん書いてる時点で私が一番アウトですけども! (2018年6月5日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 神戸、静岡はアーティストが代わるので別プロですね。7/1がFaOIオーラスで翌日授賞式。忙しい〜(><)クワド跳んでくれるのは嬉しいけど、ステイヘルシーで! (2018年6月3日 15時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ショーに授賞式に忙しいですね。練習大乗かなー。リハビリになっていいかも?このお話も長く続きすぎて、飽きられてるかなーとおもう今日この頃。次のお話も決まってないし、もう少しお付き合いください〜^^; (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 羽生さんの幸せだけをただ願っています^^お話に触れてくれてありがとうございます〜。次移行なので、もう少しお待ちください〜〜 (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» そんな近くで羽生さんを!すごい…。神戸公演では、また違うプログラムなのかなーと勝手に思っているのですが、昨日はついに4回転でましたね!^^ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2018年4月5日 18時