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【肖像画】4 ★ ページ40

「暑い国は苦手だ。」

「Aのためだから。」

「刑事くん、太陽の国は一度行っといた方がいいよ?観光地だし。」

「観光なんて興味ない。」

興味ないって…。狐はなかなかクールだな。

「フェイも行くよな。」

ならばこっちはと、どう?と軽く尋ねる。

「え!…まぁ別にいいけど。」

思った通り、フェイはいつも従順だ…。

「そもそもAは帰りたがっているのか。」

「そりゃたまには自分の親兄弟に会いたいでしょ。」

血のつながった家族は、結婚して国を出てもいつまでも家族なのだ。
だけど刑事からの返事はというと…。

「とにかく俺はいかない。」

めっちゃ後ろ向きだった。

「あ、そんなこと言っちゃうの。夫なのに妻のお願い聞けないの。」

「……。」

「あーもう俺泣いちゃうわ。」

新婚なのにー。とフェイにわざとらしく抱きついて泣き真似をすると、突然刑事の様子が変わった。

「待て!」

「え?」

「どうしたの刑事くん。」

じゃれてた俺とフェイが刑事を振り返ると、刑事が頭を抱えて地面にうずくまっている。

「み、耳鳴りが…。」

「え、大丈夫?」

側まで行って顔をのぞき込むと、なんだか冷や汗をかいている。

「あれじゃない?ゆづを泣かせるから。」

冗談ぽくフェイが言うけど、刑事の表情は微塵も笑っていない。
しかも顔面蒼白だ。

「そ、そんなことが…。」

「嘘っ、ただの泣き真似だよ?!」

俺が泣くだけで刑事に不調をきたすのだとしたら、おちおち泣けやしない。

「妻を泣かせることが狐族的にアウトなんじゃない?」

フェイの見解になんとなく納得してしまう。
でもそれは人間の世界でも基本中の基本だ。

「夫婦って信頼関係が大事だからかな。ごめん、もう泣かねーから俺。」

刑事の肩をぽんとたたきつつ、もうふざけるのはやめようと心に誓う。

「で、Aちゃんの里帰りの件は?」

もう一度フェイが刑事に尋ねると…。

「考えておく…。」

少し前向きな返事が返ってきた。
恐るべし狐族の婚姻!





.

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鹿(プロフ) - マナさん» 他の小説を読んでいたら、書けそうな気がして書き始めました!初期の作品は恥ずかしいです^^;自分でも読み返しますが、やっぱり疲れますよね〜長くて (2018年3月23日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ありがとうございます!やっぱり、並ぶんですね〜何時間ぐらいかなぁでも見に行きたい!そういえば『すべてはここから』を読み始めました!彼氏が結弦くんじゃなかったら出版社に持ち込んでるかも(笑)書きはじめたのが2年前と知り、びっくりしました! (2018年3月22日 18時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - マナさん» CWWは今度のお披露目ショー、コンティニューウィズウィングスの略ですね^^長いから。メダルも衣装も見てみたいですし、でも長蛇の列を覚悟しなければだし、悩みます〜!私、小説なんて2年前まで書いたことなかったっす。 (2018年3月22日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 羽生結弦展楽しみ^^私は東京のに行きます…こういうの、行ったことないんですよ〜混むかなぁ、、、マナ的にはぷーさんのティッシュカバーを展示してほしい(笑)あと、CWWって何? (2018年3月21日 13時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)
マナ - あああああー楽しみにして読んでいた嘘と真実も残るは「夏の風物詩」だけ…悲しくなってくる(泣)鹿さんの文才が素晴らしすぎる!!そして一花と翔がかわいすぎる!氷の国も楽しみにしてますぜ! (2018年3月19日 23時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2018年2月13日 14時

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