【画廊にて】3 ★ ページ27
★ゆづサイド
「あ〜あ…。」
執務室にため息がもれる。
これはもちろん俺のだ。
高志郎から外出願いが出されたのはいいけど、Aも一緒だなんて…。
許可したのは俺だけど、なんだかとても…やるせない。
「なんで俺だけ毎日仕事…。」
仕方ないと分かっていても、俺だってAとデートくらいしたい。
最近賢二先生のお店も行ってないな…と思いつつ、ペンを机にころんと転がして腕を頭の後ろにまわすと、もう完全に戦線離脱状態だ。
「結弦王子、本日大臣側から回ってきた書類です。ご覧になりますか。」
相変わらず真面目に仕事をこなしているまっちーが紙の束を差し出す。
いや、俺も元々真面目な部類なんだけど、高志郎が来てからというもの、何かと落ち着かないのだ。
「……。」
だから何となく受け取らずに無視していると…。
「おや、せっかく正室さまのスケート教室にゴーサインが出ましたのに、職務放棄ですか?」
「…え!」
今なんて?!
俺は椅子から転げ落ちそうになりながら、まっちーの手に持っている書類を取り上げた。
佳菜がお城で子供向けのスケート教室をしたいって言ってたの、許可がおりたんだ…。
感慨深く手元の書類に目を通していくと、なるほど。月に2回程度、お城のリンクで行うということらしい。
「大臣側もおおむね賛成だったようです。正室さまと未来ある子供達を結びつけるのには、最適の公務ですね。」
「おぉ…。」
これは早速佳菜に教えてやらなきゃ。
「ただ本日、佳菜子さまはジプシーダンスの練習に城下へ行っておりますので、まだ伝達出来ておりません。」
戻られましたら王子さまからどうぞ。と言われて、それもいいかなと思う。
「俺もたまにはスケート教えていい?」
コーチとしては既に一希には教えているけど、子供を相手にするのとは全く違う。
基礎の基礎から、手取り足取り優しく教えてあげたいなって思ってた。
「時間が合えば是非ともどうぞ。ただし、子供達の前で夫婦喧嘩だけはお止めくださいね。」
「しねーし!」
いや、前回公務で行った時、佳菜の俺に対するドS発言で変な空気になったの思い出した。
子供達の前では絶対にふざけたこと言うなって釘を刺しておかないと…。
「まずは次号のお城便りにて募集をかける予定です。よろしいですね。」
「あ、うん。」
まっちーからの具体的な進行に、嫌でもワクワクしてくる。
佳菜、喜ぶだろうな…。
たまには夫らしいことが出来て嬉しくなった。
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鹿(プロフ) - マナさん» 他の小説を読んでいたら、書けそうな気がして書き始めました!初期の作品は恥ずかしいです^^;自分でも読み返しますが、やっぱり疲れますよね〜長くて (2018年3月23日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ありがとうございます!やっぱり、並ぶんですね〜何時間ぐらいかなぁでも見に行きたい!そういえば『すべてはここから』を読み始めました!彼氏が結弦くんじゃなかったら出版社に持ち込んでるかも(笑)書きはじめたのが2年前と知り、びっくりしました! (2018年3月22日 18時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - マナさん» CWWは今度のお披露目ショー、コンティニューウィズウィングスの略ですね^^長いから。メダルも衣装も見てみたいですし、でも長蛇の列を覚悟しなければだし、悩みます〜!私、小説なんて2年前まで書いたことなかったっす。 (2018年3月22日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 羽生結弦展楽しみ^^私は東京のに行きます…こういうの、行ったことないんですよ〜混むかなぁ、、、マナ的にはぷーさんのティッシュカバーを展示してほしい(笑)あと、CWWって何? (2018年3月21日 13時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)
マナ - あああああー楽しみにして読んでいた嘘と真実も残るは「夏の風物詩」だけ…悲しくなってくる(泣)鹿さんの文才が素晴らしすぎる!!そして一花と翔がかわいすぎる!氷の国も楽しみにしてますぜ! (2018年3月19日 23時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2018年2月13日 14時