氷の国10

【書簡と使者】4　★ ページ46

氷の国の王子


早いもので、Aを嫁がせてから
かなり日も経ちました

そちらでの生活などの
不自由はないにしろ
無事、務めを果たしているのか
度々心配になります

とは言え、高齢の私達には
厳しい寒さの氷の国へ
様子を見に行くわけにも参りません

そこで、Aのいとこにあたる
高志郎をそちらに向かわせています

そちらでのAの様子を
使者として見てくるようにと
申し付けている所存です

事後報告になり申し訳ありませんが
何卒よろしくお願いいたします


太陽の国の王妃




「へぇ〜…。」

読み終えた後、王妃さまからの書簡をまっちーにも渡して内容に目を通してもらう。

「つまり太陽の国から来賓ですね。」

「そうみたい。」

確かにこんな寒い国に娘を嫁がせて心配しない親なんていないか。
おまけに結婚自体が交易の一環みたいになってたし、存在を軽く扱われて…とか想像されているかもしれない。

「雪のために、この書簡が届くまでかなりの日にちが経っているでしょうから、使者の到着も早いかもしれません。」

「そうだね。Aのいとこならきちんとお迎えしなきゃ。まっちー、出来うる限りのおもてなしを準備して。俺はすぐに返事を書くから。」

「かしこまりました。」

早々に部屋を出ていくまっちーを見送りながら、使者の長期滞在を視野に入れた方がいいかなと思案する。
それにしても…。

「Aの…いとこか。」

てことは王族…。
たくさん兄弟いたって言ってたもんな〜…。ここへやって来るのは一緒に生活していた内の一人かもしれない。

高志郎…っていったか。名前からして男だな。使者だから年上の方かも…。

「後でこの手紙をAにも見せてあげよ。」

そしてもう一通、A宛の手紙が添えられているので、これは読まずに渡すことにして。

今夜この使者についても少し尋ねてみようと、まずは仕事を中断して手紙の返事を書くことにした。



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