氷の国10

【白狐の正体】7　★ ページ33

「お前、刑事だろ。」

「え…。」

後ろでAが小さく声を上げた瞬間、シロの身体が内側から白い光に包まれて、みるみる大きくなっていく。

そして誰かの感嘆の声と共に、それは徐々に狐から人へと変わり、目の前に俺と年の近そうな青年が現れた。

この場で起こっていることを佳菜とAが信じられない様子で見ているけど、俺はフェイで経験済みだからそれほどでもない。

「シロが…人間。」

Aは俺とは違う意味合いで驚いているだろう。今の今まで狐だと思っていたシロが実は人間だったなんて、想像もしていなかったに違いない。

「わわ、わ！」

しかも佳菜は完全にへたりこんでしまった。

「……。」

人間になったシロ…じゃない、刑事の身体からオーラがでてる気がするけど、俺は構わず話しかける。

「やっぱ刑事だった。」

「よく分かったな…。」

意外と冷静な刑事を前に、立ち上がった俺は、まずは何から聞こうかと頭をぽりぽり掻く。

「ゆ、ゆづ！刑事ってひょっとして同級生の田中くん？！」

まだ立ち上がれない佳菜が刑事を指差しながら叫ぶ。

「そうみたい。」

すると今度はフェイが俺の腕からふわりと離れて、人間の姿になった。

そっか、シロが刑事だったからフェイも前に懐かしいって言ってたんだ。

「わわ！日野くんまで！」

一人パニクっている佳菜はとりあえず無視する。

「ゆづ〜大正解だよ。」

「フェイは知ってたの。」

軽くなった左腕を回しながらフェイと刑事を交互に見る。

「巣箱で一緒だった時からなんとなく。だけど確信は持てなかったし、嵐で大変だったからゆづには言わなかったんだよ。」

「俺はすぐフェイだと分かったけどな。」

刑事が腕を組んでドヤっている。
さすが狐。

「でもゆづはどうして狐が田中くんだって分かったの？」

佳菜が座り込んだまま俺に聞くのだけど、それに見合う表現がなかなか見つからず困る。

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