【おかえり】3 ★ ページ3
★ゆづサイド
控室でぱっとバラードの衣装に着替えて、謁見の間の上座に座ってAを待つ。
一応形式として数名の大臣を同席させてはいるけど、こんなのさっさと終わらせるつもりだ。
ずっと寝ていたせいか頭は冴えまくっていて、さっきから心臓がうるさいくらいに音をたてている。
それに起きた時は気付かなかったけど、なんだか身体の中がぽかぽか暖かいというか、昨日までの自分とは少し違うような不思議な感覚に包まれているのが分かる。
五芒星の祈祷のせいだろうか。
自由自在に動かせる、ふんわりとした薄い布を一枚かぶっているような…。
まぁいいや。今はAのことだけを考えよ。
一度咳払いをしてAとの謁見に備えていると、ちょうど扉の外から樹の呼ぶ声がした。
「王子さま、王女さまの帰城でごさいます。」
その一言に全身が硬直する。
ついに待ち焦がれた瞬間が訪れようとしているのだ。
「…入れ。」
わ、今声がうわずったか。
だけどいよいよだ…。
一週間…いや、正しくは８日ぶりの再会に異様なまでの緊張がこの場を支配する。
俺だけが固唾を飲む中、足音が徐々に近づいてきて、まず樹の姿が視界に入った。
そしてその後に続いて入ってきたのは…。
Aだ…！
きちんと正装した俺の愛しい妻が、うつむきがちにこっちへ向かってくる。
その姿を見ただけで、何とも言えない安堵感が胸に広がる。
良かった…。ちゃんと俺の元へと無事に帰ってきてくれた。
顔色はどうだろうか、痩せてないか、怪我してないか、そんなことを早く確かめたくて、前のめりになりそうな上半身を必死で落ち着かせる。
そして樹から俺の前に立つように促されて、Aが一歩前へ出た。
その間、ずっとその様子から視線をそらすことが出来ない俺は、少し顔を上げたAと自然に目が合って…。
「ただいま、戻りました…。」
ちょっと驚いた後、また伏せ目がちになるA。
少し震えてる…？
ただでさえ消え去りそうな声で挨拶されて…。やばい、泣きそうだわ俺。
「ご苦労だった…。」
それでもぐっとお腹に力をいれて労いの言葉をかける。
出来ることならここから降りてすぐにでもAを抱きしめたいけど、正式な謁見でそれはさすがに無理だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ファンタジー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - suzuranさん» 会見を見たのですが、動いてしゃべってるのがいいな、やっぱり！どんな作戦をたてているのか謎ですが、あと３日。わくわくさせてくれるかなー(*^_^*) (2018年2月13日 14時) (
レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 手長いんですね。一度着替えて、また着替えて空港を出たのでしょうか(笑)サイズくらいジャージの図ったやつがあるだろうにと思いましたが。どうせ二度と着ないやつ(*・∀・*)ノ (2018年2月13日 14時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 初日、氷の上で滑っている姿が幸せそうでした(*^_^*)速報で中継とか扱いがすごい！これからニュースは羽生さん一色ですね。だってスターだもの。いつか国民栄誉賞を！ (2018年2月13日 14時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
suzuran(プロフ) - 更新嬉しいです！ プーがダメというのは知っていたけれど、ショートケーキには驚きです。予想の斜め上をいくゆづw。明日の会見で誰か記者の人が触れてくれたらと期待してますw (2018年2月12日 20時) (レス) id: 4f2407ab74 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - やんごとなき感満載のお姿でしたね(*´艸`) でも、あの袖丈とズボン丈はお直し必須でお願いしたい！せっかく肩幅はジャストなのに〜。今晩の公式練習出るんでしょうか？黒い子羽生さんを見ないとやはり落ち着きません。 (2018年2月12日 19時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2018年1月17日 14時
