氷の国8

【お城便り】2　★ ページ46

★ゆづサイド

今日も朝から改装工事の音が響き渡る城内。
一週間の内に仕上げてもらわなければならないので、急ピッチで作業してもらっているのがちょっと申し訳ないなと思いつつ、午前中の仕事をしに執務室へ行くと、珍しくそのまままっちーに来賓の間へ行くように促される。

「結弦王子、お客様です。」

「そうなの。」

誰？と話の流れの中で尋ねると、昨日言ってたお城便りの関係者だと言われて納得する。

「昨日インタビューを行うとお伝えしましたが、その担当者が見えています。」

「そうだった。朝早くからご苦労様だね。このままの格好でいい？」

一応いつもまっちーから衣装の指示があるので、黒の上下のままでいいのか両手を広げて確認する。

「構いません。本日はインタビューだけですので。」

私も共に参ります。と頼もしい言葉をくれるまっちー。

わざわざインタビューしに来てくれるのに申し訳ないけど、スケートと全く関係ないことを聞かれるのは苦手だから、側にまっちーがいてくれるだけで安心するのだ。

ま、今回は試合もショーも終わった後だし、おそらくスケートのことをたくさん話せるはず。
俺は浮き足立ちつつ、来賓の間へ向かった。





扉を開けてもらって中へ入ると、前回と同じ男性のお城便りの担当者が来ていた。

「ご無沙汰しております。」

すぐに椅子から立ち上がって頭を下げられる。

「久しぶりだね。座って。」

それを軽く征して上座に座る俺の向かいに、担当者が、失礼します。と言って腰掛けた。
そしていきなり話しかけられる。

「半年前のインタビューが非常に好評でしたので、今回のお城便りは通常よりも増刷する予定です。」

「そうなの。」

まっちーが俺の隣で待機する中で、担当者からの知らせに機嫌が良くなる。
確か前回は試合前だったので意気込みを話したんだっけ。

「王子さまは国民の希望ですので。」

担当者のお世辞だかなんだか分からないセリフに笑ってしまう。

「希望は若いスケーターに託してよ(笑)」

「いえいえ、王子さま無くしてこの国は成り立ちませんから。…さて、では本日はこの半年の間の出来事についてお尋ねしたいのですが。」

「うん。」

そんな和やかな雰囲気で始まるインタビュー。

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