【日が暮れて】3 ☆ ページ12
「これ?ふふ、隣国から取り寄せてるの。薄くてとても暖かいんだよ。」
触ってみる?と言ってもらえたので、真凜と手を伸ばして生地を撫でてみる。
わぁ…本当に薄い。
「気持ちいいね…。」
表面がさらっとしてる。
「ユヅルの衣装にもよく使うよ。」
ふとジョニーさんから発せられた、衣装という言葉にはっとする。
そうだ。ゆづ王子から紹介された時、いつもスケートの衣装をお願いしてるって…。
さっき聞いたときはそれほど深く考えなかったけど、これってすごいことなのでは。
「ゆづ王子の衣装はどれも素晴らしいです。」
「デザインから製作まで一手に引き受けてるの。彼こだわりがすごいんだよ。」
ちょっと呆れながらジョニーさんが言う。
でも分かる気がする…。動き易さ一つでスケートって変わるだろうから。
「ちなみに来季の衣装は?」
気の早い真凜がもう次の大会のことを聞いた。
「来季の依頼はまだ来てなかったはずだけど…。」
ん?来季の衣装…。
ジョニーさんが人差し指を唇にあてて考えている中で、何か忘れているような気がして記憶をたどる。
「あっ!」
そして私は大事なことを思い出した。
「どうしたんですか?」
私が突然大きな声を出したものだから、真凜がきょとんとしている。
そうだった…。
ゆづ王子から来季の衣装のお手伝いを頼まれていたんだ…。
もしもあれが本気なら色々準備しなきゃならないのでは…。
だけど、これをジョニーさんの前で言ってもいいのか悩んでしまう。
でも裁縫は出来てもデザインまでなんて到底無理かも。
ここはお手伝い、ということだから、あくまでもジョニーさんが中心となって進めるのが王子さまのお考えかもしれないなと思い、話すことにした。
「えぇ、実はゆづ王子に来季の衣装のお手伝いを、と頼まれたんだけど、具体的に何をどうするのか聞いてないなって思って…。」
「ゆづ王子の衣装を?」
これには真凜も興味津々な様子だ。
「Aちゃんはそういうの得意なの?」
「縫い物は得意なのですが、デザインはちょっと…。」
一から作るなんてやっぱり絶対に無理だと思う。
「じゃあまたユヅルからこっちに連絡あるかもね。まだ来季の準備は早いし。」
嫌味な風でもなくにこにこしているジョニーさん。…優しい。
「もしAさまがお手伝いするなら、どんな衣装にしたいですか?」
不意に真凜から質問がきた。
同じスケーターだからか、衣装にとても興味があるのか、かなり前のめりになっている。
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鹿(プロフ) - yukiさん» 本当ですか?!うれしいです!!ひとつ、里帰りする話でも書きたいなーと思ったのですが、すんごい長くなりそうで今だ執筆に至っておりません(笑)ファンタジーは設定を気軽に無視できるので、書いてて楽しいです! (2022年1月1日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - このシリーズが、大好きです。番外編とかあったら読みたいです。 (2021年12月30日 23時) (レス) id: e391a6e98e (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私もリアルタイムで見てました\(^o^)/ノーミスしてさらにその上の事をしないと上位にはいけませんね。ジャンプを後半に持ってきたり、繋ぎも大事何だなーと思いました。でもやっぱり羽生さんは別格だ(笑) (2017年12月24日 21時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 女子フリー、みんなの頑張りに涙が滲みました。バンクーバー五輪の代表選考で中野友加里さんとあっこちゃんとの勝負を思い出しました。うう〜、本当に2枠しかないの?辛いですね〜。2位の2枠目は坂本さんが優位かな、とは思います。さっとん、本当におめでとう!! (2017年12月23日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 羽生さん。今年の運勢、健康面あまり良くないんですよね。来年頑張って欲しいですね(・∀・)全日本はたぶん…チラ見かな(笑)女子は気になりますね!!狐さんの正体、かなり先になりそう?! (2017年12月21日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年11月18日 0時