氷の国7

【別れ】1　★ ページ45

★ゆづサイド

次の日、ついに昌磨の帰国の日がきた。

昨日カフェで賢二先生から聞いた数々の微笑ましいエピソードを思い出しつつもまだ半信半疑な俺は、今までのお礼を言うついでになんとなく直接昌磨の部屋を訪ねた。

ノックをするとすぐに出て来てくれた昌磨に、おはよう。と挨拶をする。

「あ、おはようゆづくん。」

帰国の準備をしていたのか、すでに上着を着ていた昌磨。今日はあまり眠そうじゃない。

「昌磨、ちょっと。ちょっといい？」

「え？どうしたの。」

そんな昌磨を強引に元いた部屋に押し込むと、幸い付き人は不在のようなので、まずは一番気になっていることから尋ねる。

「あのさ。お前、さっとんと付き合ってるの？」

「えぇ？！」

単刀直入に切り込むと、いきなり何！と驚かれてしまった。

「俺も昨日賢二先生のカフェに行ったの。そしたらお前らがめっちゃいい雰囲気だったって聞いたから…。」

「(笑)」

昌磨が意味深に片手で顔を覆っている。

「今日帰るのにそこんとこどうなったのかなーって…。」

あまり人の恋愛事情に首を突っ込むことはしないけど、昌磨とさっとんとなると話は別だ。

「そんな関係じゃないよ。というか、本当に友達みたいな感じだし。」

そう言う昌磨はどことなくすっきりしたような顔付きに見えるけど…。

「え、寂しくないの？」

「寂しいけどゆづくんが伝書コウモリ貸してくれるって言ったじゃない。」

何をそんなに真剣になってるの？と逆に聞かれてしまった。
…なんだこの温度差。

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