氷の国7

【問題】5　☆ ページ5

☆主人公サイド

ショーの打ち上げに少しだけ顔を出した私は、真凜や他のスケーターにお疲れ様を言ってやっと自室に戻ってきた。

今日はいろんなことがありすぎて、正直最後まであの場にいるのは無理だと思い、早々に退席させてもらったのだ。

「はぁ、疲れた…。」

ソファーに深く腰かけて疲れた足をさする。
バンパイアのおかげで城を往復するはめになり、本当にくたびれた。

でも、今頃あの…フェイさん、だっけ。彼はどうなったのだろう。

トマトもリンゴも、佳菜子さまを見に来た彼の仕業だということがはっきりした今、王子さまはどんな風にこの件を終息させるのか…。

それに私だってそう。
あの後大臣達に、王子さまを差し置いて何様のつもりかと、随分嫌味を言われたな…。

だけどあの時はどうしてもゆづ王子にはスケートを滑って欲しかったのだ。
どんなお咎めも受ける覚悟で、しばらくは大人しくしよう。

「裁かれるのかな…。」

大したことないって思っていたけど、私の行動のせいでかなり大事になってしまった。
しかも情けないことに、結局バンパイアの捕獲に関しても、何の役にも立たなかった。

温室で私を守ってくれた時のゆづ王子、すごく怒ってた。
まさか剣を突き立ててバンパイアの命を奪おうとするなんて…。

やっぱり国を治めるというのは生半可な気持ちじゃだめなんだ…。
そういう意味でも、私などまだまだひよっこだ。

「お話も、今日は出来そうにないかな…。」

ショーが終わったらゆっくりできるかと思っていたけど、明日は臨時閣議が行われるって大臣が言ってたし、それは叶いそうにない。

しかもその原因が私にもあるから、申し訳なくておちおちゆづ王子のお部屋にも伺えない。

「怒られるかな…。」

勝手なことして、って…。
だめだ…どんどん落ち込んでしまう。

ただ一つ、明るい話題といえば、昌磨さまが目を覚まされたこと。

「だけど本当に寝てたなんて。」

笑っては失礼だけど、心配していたのでそれを聞いたとき一気に気が抜けた。
でも、何もないに越したことはない。

「はぁ…私ももう休もう。」

ソファーから立ち上がる。
今はあれこれ考えても仕方がない。明日、ゆづ王子にお会いしてまずは謝って…。

私がどんな罪に問われるのか分からないけど、何があっても甘んじて受けようと心に誓った｡





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