氷の国7

【ルッツ】3　☆ ページ33

☆主人公サイド

大臣から北の塔へ行く日が決まったと正式に連絡を受けたのは、真凜と自室でバンパイアについて話をしていた時だった。

「あー腹が立つ！どうしてAさまが謹慎なんですか？！」

腕を組んでご立腹である私の付き人。怒った顔もかわいいな。

「これでも軽くしてもらった方なんだよ。ごめんね？一週間も付いてきてもらっちゃって…。」

ショーの最中のことなので真凜はあまり詳しく知らなかったみたいで、バンパイアの件が解決したくだりをからめて謝っておく。

勿論、ゆづ王子がフェイさんと血の契約をしたことは内緒だ。

「私とAさまは一心同体です。北の塔への付き添いは当然です！」

それでも強く言いきってくれて、本当に頼もしく感じるから嬉しい。

「ありがとう。いつも頼りにしてるよ。」

「それにしてもバンパイアがゆづ王子と佳菜子さまの幼なじみだったなんて。しかもこそこそと温室に隠れていたとか、悪趣味極まりないです！」

「フェイさんも悪気があったわけじゃないのよ。」

けっこうおどおどしてる部分があったし、何より今はゆづ王子のしもべになった。

「バンパイアって何なんですかね。今度会ったらガツンと言ってやりたいです。」

「まぁまぁ…。あ、それより午後からゆづ王子と城下へ行くんだけど、一緒にお洋服選んでくれないかな。」

怒りモードの真凜を落ち着かせたくて、話題を変える。

「あ、確か観劇でしたよね。任せてください！フォーマルで尚且つ可愛いお衣装をコーディネートいたします！」

あとメイクとアクセサリーも！と俄然やる気になる真凜が、一目散にクローゼットへとかけ出す。
本当におしゃれが好きなんだなぁ。

ゆづ王子とのお出掛けもいいけど、一度真凜とも城下へ行ってみたいなと思いつつ、早速二人で準備に取りかかった。





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