氷の国7

【問題】4　★ ページ4

「そんな温室好きならしばらく温室に滞在したら？」

「え？」

「コウモリの姿でいる方が楽なんでしょ。」

勿論これは半分嫌味だが、友人をお城の牢に入れるのもな、と気を利かせた俺の思いやりだと分かって欲しい。
するとフェイが腕を組んで、うーん…。と考え出した。

「…リンゴ食べてもいいの。」

「いいよ。その代わりたまには温室の仕事手伝えよ。」

そんな楽なことを今回のペナルティにはしないけど、とりあえず何かやってもらいながらしばらくお城で過ごしてもらった方がいいかなと思っていた。

ま、せっかくの再会だし。
犯罪者みたいになってるけど、幼なじみだ。俺にだって情はある。

「あの女の子と毎日会えるならやるよー。」

「A。」

「あ、Aちゃんか。」

「くれぐれも俺の奥さんだってこと忘れるなよ。」

変な下心出してみろ。すぐにでも成敗してやる。

「わかってるよ〜…。ゆづ怖いなぁ。」

「しばらく庭師の助手として頑張れよ。」

特に重労働の類い。これからリンゴの収穫が始まるからパトリックも忙しいはずだ。
Aにそんなことはさせられないなと思っていた。

「じゃあ早速温室に戻るね。今日はもう疲れた〜…。」

あくびと背伸びをしている。
俺のが疲れてるわ！と突っ込んでやろうかと思ったけど、しんどいのでやめる。

「あ、明日は佳菜呼んで三人で食事な。一応聞くけど好き嫌いある？」

そうだ。佳菜に伝えてたんだ。
バンパイアだから偏食かな、と勝手に想像する。

「トマトとか赤いのがいい。肉はいらないかな。」

「魚は？」

「あんまり…。」

「お前よくそれで生きてるな。」

まぁいい、そこらへん明日じっくり聞こう。
フェイがバンパイアだったことなど、おそらく小学校のクラスのみんなも知らなかったはず。

「じゃあまた明日。」

またフェイの周りの空間が歪んで、今度はコウモリの姿になったかと思ったら、あっという間に窓の隙間から外へ出ていく。

「便利なやつだな〜。」

それを見ながら、あの技何かに使えないかな。とまじで想像を巡らしてしまった。





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