【決めた】5 ★ ページ21
「フェイ…。」
低い声で呼んでやると、そのコウモリがぶら下がっていた天井からひらひらと落ちてきて床に着地する。
すると前みたいに周りの空間が歪んで人の姿になったかと思ったら、開口一番こう言った。
「ごめーん、出てきにくい雰囲気になっちゃって(笑)」
どきどきしたぁ〜…。と胸を手で押さえている。
「なんでここにいる。」
俺はさらに低い声を出してソファーから立ち上がる。ちなみに冷ややかな視線は当然のおまけだ。
「え、なんでって…散歩?」
「……。」
嘘つけ。
一度絞めてやろうかと一歩踏み出すと、不意にフェイが、あっ!と小さく叫んで、テーブルに置いてあったクッキーの袋に手を突っ込んだ。
「これ!また食べたかったんだよ〜。」
一つ取り出して勝手に口に入れる。
「おい!それ俺のだし。しかもまたって何だよ。A、フェイにもあげたの?」
いつの間に。と思いつつ振り返ると、ソファーにきちんと座り直したAのきょとんとした顔がそこにあった。
「いえ、差し上げてないです…。」
「あ。この前ここの部屋に置いてあったの、美味しそうだったから半分いただいたんだよね(笑)」
…はぁ?
「待て、まさか無断で俺の部屋に入って盗み喰いか。」
厨房のみならず、お城のプライベートエリアにまで…。
「お城初めてだし、色々見たくなっちゃって(笑)」
「……。」
手を頭の後ろにあててぽりぽりと掻きながら笑っているフェイ。こいつこんな性格だったっけ…。
「そうか…。だからショーの前、ゆづさんはクッキーをあっという間に食べてしまったっておっしゃったんだ…。」
Aが何かに納得したようにぽんと手を叩く。
「あれAちゃんが作ってたの?とっても美味しかったよ。」
「あ、ありがとうございます…。」
Aが照れているようだけど、今はそんなやり取りをしている場合ではない。
「フェイ…。お前さ、本当に笑えねー行動やめろ。」
今俺とAがちょう良い雰囲気だったの見られてたし。
Aがフェイに気付かなかったらあのままやばいシーンを披露する所だった。
153人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ど素人ど底辺歌い手のつくよみ(プロフ) - すみません、ページ数も書くべきでした。 …忘れてしまいました、すみません。 (2018年2月27日 18時) (レス) id: e1bb019e02 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ど素人ど底辺歌い手のつくよみさん» 誤植かな?どこか教えていただけると助かります^^ (2018年2月27日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
ど素人ど底辺歌い手のつくよみ(プロフ) - されど名前に、でも、はいりませんよ。 (2018年2月27日 6時) (レス) id: e1bb019e02 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» おめでとうございます!先生かあっこちゃんか、はたまた真央ちゃんか迷ったのですが、年上の感じが出したかったので先生にしました!次は誰が出てくるかなぁ〜(*^_^*) (2017年11月16日 15時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - suzuranさん» 今季のエキシビションは何なの!全日本エキシまで待つの?でも出場出来なかったらオリンピックまで幻やでぇ(笑)書くことでロスを癒すテクニックを身に付けはじめています(笑) (2017年11月16日 15時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2017年11月3日 21時