氷の国7

【問題】3　★ ページ3

「分かりました。では今日のところは王子さまもお疲れでしょうから、私共は失礼いたします。」

また明日に…。と、すっと頭を下げて大臣が席を立つ。
それを無言で見送ると、必然的にここには俺とフェイだけになってしまったので、短い沈黙の後、フェイから口を開く。

「僕のせいであのかわいい子に迷惑がかかったんだね…。」

あまりフェイを責めたくないけど、申し訳なさそうに言う分だけ少し救われるか。

「ほんとにな。ちなみにあれ俺の奥さんだから。」

「やっぱりそうなんだ…。あ、結婚おめでとう。」

…今ここで言われてもあんま嬉しくないけどな。

「てかさ、最初に目撃されてからずっとどこに隠れてたのよ。」

とりあえずAのことは置いておいて、まずは気になっていたことを尋ねる。
今の今まで隠れ通すって、相当だろうと思ったのだ。

「え、どこって…。温室だけど？」

「はぁ？！」

温室…。

「あそことっても暖かいし果物だってあるし、まぁ足りない分は厨房行っていただいたけど、なかなかいい環境で。」

にこにこと満足げに話すフェイにちょっといらっとする。

「ひょっとしてずっとコウモリの姿でいたとか…？」

人の姿でいたらすぐに怪しまれる。

「ほぼね。だからよくゆづの奥さん見かけたよー。リンゴ食べてるの見つかりそうになった時は焦ったけど(笑)」

……。
いけしゃあしゃあとこいつ…。まるでかくれんぼじゃねぇか。

「じゃあなんでそのAをさっき温室で襲おうとしたんだよ。」

「え？だってみんな本気で向かってくるんだもん。あの子の後ろなら安全かなーって思って…。」

「……。」

なんだそれ。
そのおかげでAがちょう怖い思いしたんだぞ…。俺だって血を吸われるんじゃないかと内心気が気じゃなかった。

「そしたらゆづが僕を素手で思い切り掴むんだもん。あれ痛かった〜…。」

しかもその後すごい怖い顔で踏みつけられて…。と一歩間違えてたら剣で刺すところだったのを思い出す。

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