氷の国7

【わかってる】7　★ ページ16

「うっかり変なやつの血を吸ったら悲惨だな。」

「だからみんな優しそうでかわいい女の子を狙っちゃう。」

年頃の男どもの思い付きそうなことだ。じゃあ逆だと…イケメン狙い？

「女は？」

「バンパイアに女の子はいないよ。」

「へえー！」

佳菜が大袈裟に両手を上げてのけ反る。
それは初耳だ！

「それでどうやって子孫を残すんだよ。」

「お父さんはバンパイアだけど、お母さんは人間なんだ。」

だから子供の頃はほぼ人間の機能しかないの。と今度はトマトスープを口に運びながら語るフェイ。

「なるほど。」

「面白いな。」

淡々とフェイの口から語られるバンパイアの生態に感心するばかりの佳菜と俺。
これ一冊の本にまとめた方がいいんじゃね？

「あ、日野くんどうせ今独り身なんでしょ。ここにいたらかわいい彼女が出来るかもよ〜(笑)」

「…そ、そうかな。」

佳菜がくるくるっと指差すと、フェイの顔が赤くなった。何を期待してるんだか知らないけど、ここは俺も便乗して持ち上げておく。

「そうそう。フェイかっこいいしもてるよ〜。」

実際子供の頃は俺よりフェイのがもててた。

「とりあえずしばらくこっちにいるんでしょ。」

「まぁ…一応この国に拘束されるてるからね。」

さらっと言うけど考えてみたらすごい会話だなこれ。

「とにかくフェイ、処遇が決まった後もこっちいろよ。」

「そう？…でも色々あったけど思いきって佳菜子ちゃんのスケート見に来てよかったぁ〜…。」

目を瞑ってしみじみと胸に手をあてているフェイ。

「引退はもったいないし、まだ早いよな。」

「よしてよー(笑) やっと好きなもの食べられるようになったのに。」

そう言いながらデザートのケーキにかぶりつく。

相変わらず食欲のある佳菜。よかったら俺のもあげようかな、なんて思ってしまった。





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