【わかってる】4 ★ ページ13
★ゆづサイド
「え、それでAは一週間も北の塔に行くことになっちゃたの?!」
夜、フェイを招いて三人での食事会の最中、佳菜が食べ物を口に入れたまま驚きの声をあげる。
「あぁ…。」
佳菜とフェイのためにと開いた食事会だが、はっきり言って全く食欲がない俺はさっきから皿に乗っているサラダのトマトをフォークでつついて弄んでいる。
「えー…。僕のせいでそんな大事に?」
「てか日野くんは?Aが謹慎なのにこんな所でご飯食べてていいの?」
「フェイの罪状はたいしたことないよ。むしろAのが、取り方によっては反逆罪みたいになるからまじでつらかった…。」
フェイはただの軽犯罪だ。
Aの場合は、王族としてそれぞれ立場と役割があるという中での大きな事例で、今回問題になったのはそこだ。
「日野くん最低。」
「悪かったよ…。」
こんな時、佳菜は思ったことをすぐ言葉にするから、それを聞いてちょっと救われる。
Aのことはまた別の問題で、決してフェイのせいじゃないんだけど、フェイが普通にこの国へ来てくれていたらどんなによかっただろう…と何度思ったか知れない。
「あーあ。A、一週間も北の塔で過ごさなきゃなんないのかー。」
あそこ雪しかないんだよね。と佳菜が肉を口に入れる。
「しかも行くのに半日かかるし。」
せめて行き帰りは付いていってあげたいなとは思っているけど…。
「ゆづの奥さん…いや、Aちゃん怒ってるんじゃない?」
フェイがトマトを頬張りながら、俺が一番気にしていることを言う。
それなんだよ…。夫なのに妻を無罪放免に出来なかった己の無力さを思うと胸が痛い。
本当のことを言えば、Aには俺の座を奪うとか、そんな考え毛頭なかったのは俺が一番分かっているし、実際そうなのだ。
良かれと思ってやったことが、結果的に反逆罪…みたいにとられてしまって、俺としてもやるせない気持ちでいっぱいだ。
それを助けてあげられなかったことが情けなくて…。それもあって食欲がない。
「Aに嫌われたかも知んねー…。」
お皿のトマトがころんと転がった。
やばい…泣きそうだ俺。
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ど素人ど底辺歌い手のつくよみ(プロフ) - すみません、ページ数も書くべきでした。 …忘れてしまいました、すみません。 (2018年2月27日 18時) (レス) id: e1bb019e02 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ど素人ど底辺歌い手のつくよみさん» 誤植かな?どこか教えていただけると助かります^^ (2018年2月27日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
ど素人ど底辺歌い手のつくよみ(プロフ) - されど名前に、でも、はいりませんよ。 (2018年2月27日 6時) (レス) id: e1bb019e02 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» おめでとうございます!先生かあっこちゃんか、はたまた真央ちゃんか迷ったのですが、年上の感じが出したかったので先生にしました!次は誰が出てくるかなぁ〜(*^_^*) (2017年11月16日 15時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - suzuranさん» 今季のエキシビションは何なの!全日本エキシまで待つの?でも出場出来なかったらオリンピックまで幻やでぇ(笑)書くことでロスを癒すテクニックを身に付けはじめています(笑) (2017年11月16日 15時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年11月3日 21時