【恋愛指南】8 ★ ページ50
「またさっとんと一緒に滑りたい?」
「滑りたい。」
そこは即答なんだ。
「それってさっとんのスケートをリスペクトしてるってことじゃない?」
スケートか…。と、まだしっくりきてなさそうに昌磨が目を閉じる。
もうすっかり首の手当てが終わった俺は、そんなはっきりしない昌磨の態度に、だんだんどんな手紙を書けばいいのか分からなくなってくる。
「なんか違うんだよね〜…。知子ちゃんとは一緒にご飯食べてるだけで癒されるっていうか…。」
「お前の野菜食べてくれるからでしょ。」
「ゆづくん、それ子供の発想だよ。」
わ、たしなめられてしまった。
「とにかく手紙。最初はやっぱり、寝てしまってごめんなさい。…だな。」
ハグを謝るのはやっぱり違う気がする。
「うん。…それから?」
「知子さんとまた一緒に滑りたいです。…は?」
「一緒か…ショーでのペアはもういいかな、足を引っ張るのは目に見えてる(笑)」
…自信満々に言うなよ。
「じゃあ、一緒にスケートの練習した後で食事しようって書けば?」
「…それってデートの誘いっぽくない?」
……。
あれ?そうなるか。
腕を組んで斜め上を見ながら頭の中で状況をまとめる。
まてよ、俺がAからもらった手紙も花火大会のお誘いだったよな…。あの時は別にお互いの気持ちが完全に通じ合ってなかったから…。
「うん、問題ない。」
「ホントに?!」
「食事くらい友達でもするじゃん。なんなら俺の知り合いがやってるカフェでも行ってくる?」
いくらなんでもさっとんに選ばせるわけにはいかない。
ここは男の昌磨がリードしなきゃなんない所だ。
「行くとしても何を話せばいいの。」
「あのな、それくらい自分で考えて。しばらく会えなくなるんだからね?」
これはいわゆるスケートの試合運びだ。ショーでの失敗を食事でリカバリーする作戦。
「スケートの事かなぁ…。」
「そうだな、スケートなら共通の話題で盛り上がること間違いなし。」
小さくガッツポーズをして昌磨に言い聞かせる。
「とりあえず部屋に戻って手紙書くよ。」
「がんば!」
そう言ってやっとベッドから這い出た昌磨に、付き人もようやく安心したようだ。
「ありがとうゆづくん。ちょっと気持ちが上向いた。」
「うん、じゃあ俺ももう行くわ。」
お城でフェイがどうなったか気になるし。
昌磨と固くハグをして、別々にお城へ戻ることにした。
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鹿(プロフ) - カヨピさん» かなりゆっくりな展開になりそうですが、山あり谷ありで書いていきますね。知子さんのしゃべり方難しい(;・∀・) (2017年11月6日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
カヨピ(プロフ) - めっちゃ、」昌磨君と知子ちゃんいいです。ドキドキで、感動して、毎日見ちゃいます (2017年11月4日 11時) (レス) id: ecb81f9aab (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 海外のスケーターって、話し方がわからないからイメージしにくいです(*^_^*)羽生さんはとても個性のある話し方なので、いいですよね!パトリックはやっぱり羽生さんのライバルだよなぁと思います。また競いあってくれないかなー。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 何度も読んでくださりありがとうございます!大人な二人はまぁ期待せずに〜(*^_^*)でもここぞというシーンにいれたいですね。今回の主人公は敬語だから、なかなか新鮮味があっていいです。試合の前後は更新迷うんですけどね。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - スケカナでパトリックがまさかの台落ち。ゆづがいなくて張り合いがなかったかな。フェイくんって、不思議な雰囲気はありますよね。私の中でスケーターでバンパイア、というと、ミハル・ブレジナがイメージなんですよ。青い瞳と八重歯のせいかな。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年10月14日 21時