【俺のだから】7 ★ ページ41
本来、バンパイアはずっと人の姿で暮らすのだけど、二十歳を過ぎると自由にコウモリに変化できるようになるらしい。
だから子供の頃はほぼ人間だと周りに思われていたということだ。
「さっき佳菜の引退セレモニー見に来たっつってたけど血を吸いに来たわけじゃないんだな…。」
「え?」
体育座りのままきょとんとするフェイ。
「そうだ!ゆづの首に噛みついたんじゃ…。」
大ちゃんが血の痕がある俺の首元を心配しているけど、これは引っ掛かれただけだから問題ないはず。
「いつの話してるの?(笑)そんなの最近バンパイア法で禁止されたよ?」
バンパイア法?
「…なにそれ。」
「バンパイア法第9条、バンパイアは人間の血を吸ってはいけない。」
…知らないの?と、あっけらかんと言うフェイ。
つかそんなん知らねー。ここにいる全員知らないねーから。
「あの…トマトを盗んだのは?」
ずっと黙っていたAが恐る恐るフェイに尋ねる。
「赤い野菜はテンション上がるんだよ。でもリンゴはまだ美味しくなかったな〜。」
それは温室にあるリンゴのことか。
「色々繋がってきました…。」
頷きながら疲れた表情のAが後ろに下がる。
これ一気に気が抜けたっぽいな。
「とにかく一度詰所で取り調べだ!!」
そんな和んだ空気を断ち切るように、剣を収めた大ちゃんが騎士団にフェイを引っ捕らえるよう指示を出す。
「そ、そんなぁ〜…。」
「待ってよ!それはもう良くない?」
フェイだって怖がっている。
一応素性ははっきりしたし俺の知り合いだったのだから、今は久々の再会を分かち合いたい思いが強い。
「いくらゆづの知り合いでも、トマトの窃盗とショーのただ見の容疑がかかってる。」
あと温室荒らしも。と付け足される。
…確かに。
「あ!ゆづ王子、ショーはどうされたのですか?!」
突然Aが叫んだのでみんな忘れていたことを思い出してはっとする。
「やば!出番まで後…20分もない!」
時計を確認するや否や急に現実に引き戻される俺。
ここは騎士団に任せて急いでここから出る準備をしなければ!
「ちょっと待ってよ、僕はどうなるの?」
フェイが心配そうに手を差し伸べてくるけど、今はお前に構っている暇はない。
「悪いけどしばらく詰所にいて。」
後で会いに行くことを伝えて安心させてやる。
「王子さま、首の怪我を手当てを…。」
Aに言われて引っ掛かれたことを思い出す。
そっと首に手をあてると指にうっすら血が付いた。
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鹿(プロフ) - カヨピさん» かなりゆっくりな展開になりそうですが、山あり谷ありで書いていきますね。知子さんのしゃべり方難しい(;・∀・) (2017年11月6日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
カヨピ(プロフ) - めっちゃ、」昌磨君と知子ちゃんいいです。ドキドキで、感動して、毎日見ちゃいます (2017年11月4日 11時) (レス) id: ecb81f9aab (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 海外のスケーターって、話し方がわからないからイメージしにくいです(*^_^*)羽生さんはとても個性のある話し方なので、いいですよね!パトリックはやっぱり羽生さんのライバルだよなぁと思います。また競いあってくれないかなー。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 何度も読んでくださりありがとうございます!大人な二人はまぁ期待せずに〜(*^_^*)でもここぞというシーンにいれたいですね。今回の主人公は敬語だから、なかなか新鮮味があっていいです。試合の前後は更新迷うんですけどね。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - スケカナでパトリックがまさかの台落ち。ゆづがいなくて張り合いがなかったかな。フェイくんって、不思議な雰囲気はありますよね。私の中でスケーターでバンパイア、というと、ミハル・ブレジナがイメージなんですよ。青い瞳と八重歯のせいかな。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年10月14日 21時