【俺のだから】3 ☆ ページ37
まず温室の中にある小さな倉庫へと向かう。
そんないつも当たり前にしていることが、今は無良さんの護衛なしでは到底前へ進めないから不思議だ。
「私の背に隠れてください。」
「は…はい。」
ゆっくりと辺りを見渡しながら無良さんの後ろを歩く。
バンパイアは小さいから木に止まっていたら分からないなと充分注意しつつ、恐怖心にも負けないようにしっかり意識を保って。
順調に進む中で、途中ざわっと植物が揺れた。
「きゃ!」
いつもは物音など気にならないのに、小さい窓から入ってくる風の音だけでびっくりしてしまった。
「大丈夫ですか?」
「す、すすすみません!」
しかもあろうことか無良さんに抱きついてしまった…。
「いえ、このまま前に来ますか。」
「え…。」
無良さんの強い力で身体ごと引かれて、前を向いて肩に手を置かれる形になる。
安全だけどこれはこれで密着度合いが…気まずい。
「前だけを見ててください。私は周りを目視していますので。」
「……。」
こ、こんなに近くで他の男性と…。
ゆづ王子以外ありえないと思っていたのに…。
結局このまま倉庫にたどり着いて、中からバンパイアが人間の姿になっても捕獲できるような大き目の網を取り出す。
普段、丸めて収納しているものだけに、意外と重い。
「これを騎士団長に…。」
それを無良さんに託してまた二人で来た道を戻りながら果樹園へ向かう途中、突然大きな声が響き渡った。
「いたぞ!!」
大輔さんの声だろうか、私と無良さんが一斉に声のした方を振り向く。
「ど、どこですか…?」
まだその姿を見つけられないでいる私に無良さんが、あそこです!と指を差した。
外へ出ようとしているのか、コウモリの姿でガラス張りの天井の窓へと一直線に羽ばたいている。
「させるかよ!」
大輔さんが窓を締めるレバーをすごい速さで回すと、徐々に全ての窓がしまってゆく。
「これで逃げ場がなくなった…。」
「王女、網を!」
大輔さんが私に向かって手を伸ばす。だけど網を持っているのは私ではないので、言うまでもなく無良さんが走って持って行く。
だけど向こうは空を飛んでいるのだ。これからどうやって捕獲するのか…。
ここから上を見上げながら、行き場を失ったバンパイアを目で追っていると、不意にUターンして…。
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鹿(プロフ) - カヨピさん» かなりゆっくりな展開になりそうですが、山あり谷ありで書いていきますね。知子さんのしゃべり方難しい(;・∀・) (2017年11月6日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
カヨピ(プロフ) - めっちゃ、」昌磨君と知子ちゃんいいです。ドキドキで、感動して、毎日見ちゃいます (2017年11月4日 11時) (レス) id: ecb81f9aab (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 海外のスケーターって、話し方がわからないからイメージしにくいです(*^_^*)羽生さんはとても個性のある話し方なので、いいですよね!パトリックはやっぱり羽生さんのライバルだよなぁと思います。また競いあってくれないかなー。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 何度も読んでくださりありがとうございます!大人な二人はまぁ期待せずに〜(*^_^*)でもここぞというシーンにいれたいですね。今回の主人公は敬語だから、なかなか新鮮味があっていいです。試合の前後は更新迷うんですけどね。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - スケカナでパトリックがまさかの台落ち。ゆづがいなくて張り合いがなかったかな。フェイくんって、不思議な雰囲気はありますよね。私の中でスケーターでバンパイア、というと、ミハル・ブレジナがイメージなんですよ。青い瞳と八重歯のせいかな。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年10月14日 21時