【花束】10 ☆ ページ21
ショーが始まる前佳菜子さまが、ゆづ王子との夫婦生活なんて考えられない…みたいな事をおっしゃっていたけど、何の覚悟もなしに結婚したりしない。
それに佳菜子さまほどの地位の方なら、断ることだって出来たはず。
それでも…。
ゆづ王子を支えようと、正室として頑張ってこられたのだ。
そんなお二人の関係が今は本当に羨ましいし、誇りに思っている。
これは妬きもちとかじゃなくて、ただ純粋に気持ちの面での見習うべき所なのだ。
「わぁ…。」
リンクの上の佳菜子さまが何かを振り撒くような手の動きの後、三連続ジャンプを跳んだ。
その流れるような美しさに、ノブさんが感嘆の声を上げる。
それを目の当たりにした私も、なぜ引退を選ばれたのだろうと本気で思ってしまう。
「あんなに跳べるのに、どうして辞めちゃうんですか…。」
良いのか悪いのかよく分からないけど思わず声に出てしまった。
だけど胸がいっぱいの今の状況では、上手く喋れなくて喉に張り付いたような声になってしまう。
「佳菜が…決めたことだから。」
そうおっしゃるゆづ王子もまた、聞いたことがないくらい悲しげな声だ。
みんな佳菜子さまの引退を惜しんでいるんだ。
そしてここにいる全ての人間が、この国の王女さまを大切に思っている。
曲がまた最初の切ないピアノの旋律に戻った。
終わらないで…。と心から叫びたい気持ちと、ありがとうという気持ちとで頭がぐちゃぐちゃになってしまう。
「ダブルアクセル…。」
ノブさんが頷きながら呟いた最後のジャンプ…。
ここからもう、誰も何も言葉を発しなかった。
演技のフィニッシュ。
佳菜子さまが何かを受け取ったような手の動きをして最後のプログラムが終わった。
それと同時に、またものすごい拍手の渦が鳴り響く。
ご自身もまた新しい一歩を踏み出そうと、これから生きていく糧にしようとしているような…そんな強い志を感じた私も、精一杯の拍手を送る。
「……。」
みんなの声援を受けて、佳菜子さまの表情が一瞬泣きそうになったけど、またすぐにいつもの笑顔に戻った。
まだ鳴りやまない拍手に、照れ隠しだろうか。
顔の前で手を振る仕草がとってもかわいらしい。
そして改めてリンクで四方八方に丁寧なお辞儀をしながら佳菜子さまが手を振る。
「終わった…。」
立ち上がったゆづ王子が拍手を送りながら呟く。
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鹿(プロフ) - カヨピさん» かなりゆっくりな展開になりそうですが、山あり谷ありで書いていきますね。知子さんのしゃべり方難しい(；・∀・) (2017年11月6日 16時) (
レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
カヨピ(プロフ) - めっちゃ、」昌磨君と知子ちゃんいいです。ドキドキで、感動して、毎日見ちゃいます (2017年11月4日 11時) (レス) id: ecb81f9aab (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 海外のスケーターって、話し方がわからないからイメージしにくいです(*^_^*)羽生さんはとても個性のある話し方なので、いいですよね！パトリックはやっぱり羽生さんのライバルだよなぁと思います。また競いあってくれないかなー。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 碧海さん» 何度も読んでくださりありがとうございます！大人な二人はまぁ期待せずに〜(*^_^*)でもここぞというシーンにいれたいですね。今回の主人公は敬語だから、なかなか新鮮味があっていいです。試合の前後は更新迷うんですけどね。 (2017年10月31日 16時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - スケカナでパトリックがまさかの台落ち。ゆづがいなくて張り合いがなかったかな。フェイくんって、不思議な雰囲気はありますよね。私の中でスケーターでバンパイア、というと、ミハル・ブレジナがイメージなんですよ。青い瞳と八重歯のせいかな。 (2017年10月30日 23時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2017年10月14日 21時
