検索窓
今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:168,535 hit

【準備】2 ★ ページ10

「やべ、15分遅刻。」

金曜日の夕方だからか意外と道が混んでいて少し慌てて車から降りる。

汗もかいたしちゃんと着替えようかと思ったけど、ジャージでいいかとそのまま来てしまった。

ビルの階段をぴょんぴょんと軽快に昇って、もうすっかり慣れた職場のドアを開ける。

「こんにちはー。」

「あ、羽生さん。」

最初に声をかけてくるのはいつも田中だ。

「ゆづ遅い。」

「遅くねーし(笑)」

Aが口を尖らせている。
つい先日、髪型をボブに変えて少し大人っぽくなったのに、これじゃあまるで子供だ。

「あーあ、明日からA先輩としばらく会えないなんて…。」

つまらないです〜…。と田中が子供みたいに机に突っ伏している。

「田中?羽生さんがいない間、寂しがってる暇なんてないくらい働いてもらうからね?」

覚悟してて。とリーダーさんに言われてさらにうなだれる田中。
ふふ、まじでそうなりそうだから面白い。

「あ!生まれそうになったら連絡下さいよ?!僕駆けつけますから!」

「絶対やだ。」

机の引き出しから鞄を取り出しながら、ゆっくり立ち上がるA。

「なんでですか!」

「キモい。」

Aのキツイ一言に田中が、ギャー!と叫んだ。

「うるさいなぁ。写メ送ってやるから来んな。」

なんだかんだ、もう病院を調べあげてそうで怖いけど、Aの出産シーンなんて見せるわけにはいかない。

「ゆづ、写メなんてだめだよ。田中君、週刊誌に売るかもよ?」

「ひどい!」

そんなことしません!と田中がまじで反論してくる。

「A、さすがにそれはねーわ。」

お前らの間に信頼関係という言葉はないな、うん。

さ、いつまでも仕事の邪魔しちゃ悪いからそろそろ帰ろうかと、Aの荷物をさっと持ってあげる。

「あ、ありがとう。」

「Aちゃんはいいなー、素敵な旦那さんがいて…。」

いつだったか、挨拶をしにここへ来たときに3アクセルをリクエストしてきた先輩にため息をつかれる。
以前Aに聞いたところによると、まだ独身らしい。

「結構めんどくさい所もあるんですよ。真面目だし。」

「真面目で何が悪い。Aが不真面目すぎるんだよ。」

てかこんな場所で言い合いなんてしたくない。

「まぁまぁ(笑) 羽生さん、無事に生まれるようにみんなで祈ってるわね。」

「…ありがとうございますリーダー。」

他のみんなからも優しい言葉をもらって、Aもなんだかうるうるしてるみたい。

【準備】3 ★→←【準備】1 ★



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (189 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
279人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みゅーちゃん(プロフ) - 鹿さん» はーい笑 (2018年8月26日 12時) (レス) id: 1cf252bae5 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みゅーちゃんさん» 気長にお願いしますね〜〜^^; (2018年8月26日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みゅーちゃん(プロフ) - 鹿さん» そうなんですね。楽しみにしています! (2018年8月24日 17時) (レス) id: 1cf252bae5 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みゅーちゃんさん» 実は私も気になります笑 いつか書きたいのですが、なんにせよロシアで何するんだよっていう知識のなさが行く手を阻んでいます^^;羽生さんも世界へ行って何がしたいのか。コーチ的な?それともアドバイザー的な?謎です笑 (2018年8月24日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みゅーちゃん(プロフ) - 完結してしまったんですね…。寂しいです。なんか正直ロシアに行った後が気になります笑 (2018年8月24日 2時) (レス) id: 1cf252bae5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2017年7月3日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。