【thirty後編】6 ★ ページ46
「A、A起きて。」
そしたら、いてもたってもいられなくなって、俺は隣で寝ているAをおもむろに揺すって起こす。
「ふみゃ〜…。何?」
当然不機嫌になりつつも一応は起きてくれたので、Aの腕を引いて座らせてから、向かい合ってじっと目を見た。
「あのさ、よく聞いて。」
「…?」
眠い目をこすりながらぼーっとしているAの肩に手を置いたら、意を決して、たった今思い付いたことを伝える。
「A、海外行こう。」
「え〜…。」
旅行?と一応の返事が返ってきたのだが、そういう意味合いじゃないので頬っぺを軽くつまむ。
「違う。Aを俺の通訳として雇いたいから一緒に海外で暮らすの。」
「ふ〜ん…。へ?!」
今の言葉を聞いて一気に覚醒したのか、Aがちょう間抜けな顔で俺を見る。
「Aロシア語得意だしロシアでもいっか。」
「えぇ!!」
ロシアにはプルシェンコもタラソワ先生もいる。カナダでもいいけど、スケートの本場であるロシアが最適かなと思ったのだ。
確かに日本も悪くはない。でも環境のことを考えるとどうしても海外に目がいくし、この国はやっぱり少し…住みにくい。
「俺の夢を叶えるために、一緒に来てくれる?」
まだ頭がはっきり動いてないAが答えあぐねているけど、今すぐ答えを聞きたい俺はそのままじっと返事を待つ。
「ロシア…。」
「ついてきて欲しい。」
一度大きくうなずいてから再び肩を抱き寄せる。
家族といる幸せも、スケートする幸せも。どっちも手放したくないから。
「行ってどうするの…?」
「スケート教えるに決まってんじゃん。」
俺のストレートな発言に、目を閉じて頭を左右に振りながら腕を組むA。
今一生懸命考えているんだな。
そんなAの返事を待つ間も、断られたらどうしようかと思考を巡らせながら策を練っていると…。
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みゅーちゃん(プロフ) - 鹿さん» はーい笑 (2018年8月26日 12時) (レス) id: 1cf252bae5 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みゅーちゃんさん» 気長にお願いしますね〜〜^^; (2018年8月26日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みゅーちゃん(プロフ) - 鹿さん» そうなんですね。楽しみにしています! (2018年8月24日 17時) (レス) id: 1cf252bae5 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みゅーちゃんさん» 実は私も気になります笑 いつか書きたいのですが、なんにせよロシアで何するんだよっていう知識のなさが行く手を阻んでいます^^;羽生さんも世界へ行って何がしたいのか。コーチ的な?それともアドバイザー的な?謎です笑 (2018年8月24日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みゅーちゃん(プロフ) - 完結してしまったんですね…。寂しいです。なんか正直ロシアに行った後が気になります笑 (2018年8月24日 2時) (レス) id: 1cf252bae5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年7月3日 16時