時間と距離を超えて18

【イクメン】10　★ ページ33

★ゆづサイド

久しぶりのリンクから帰って来て、ばたばたと食事を終えた後、翔を早めのお風呂に入れることにする。

「ゆづ、そろそろ一緒に湯船につかってみる？」

「まじで？！」

Aの一言に、飛び上がるほどテンションの上がる俺。

「じゃあ、お願いしようかな。」

「まかせて！」

密かに俺、子供と一緒にお風呂に入るのが夢だったんだよな〜。
生まれたときからベビーバスだったから、まだかまだかとこの時を待っていた。

「あまり長風呂はだめだよ？五分経ったら私がキャッチするから。」

「オッケー。」

バスルームへ向かうそばから、服を脱ぎながら歩いて、ぽいっと洗濯機に放り込む。

湯船に浸かって待っていると、Aに危なっかしく抱っこされて裸の翔がやって来た。

「はい、よろしくね。」

「A滑んないで。」

ゆっくり、そーっと受け取る。

ぬるめのお湯につけると、ぷかぷか浮いて、気持ちよさそうにぽかーんと口を開ける翔。

「寝ちゃいそうだね(笑)」

「うん。しかもこれAの寝顔にそっくりだな(笑)」

「…え。」

あ、やばい。Aに似てるってことは、我が家じゃ禁句なんだった！

「いや、違う。俺にそっくりだ。」

「いいし、言い直さなくても！」

五分後くるからね！とちょっと不貞腐れて行ってしまった。
…つまんねーことですぐ怒るんだから。

「大好きな人に似てて何が悪い。なー、翔。」

ガーゼで軽く顔を拭いてやる。
まだ首も座ってなくてふにゃふにゃしてるけど、そのうちしっかり四回転跳べる身体を作ってやろうな。

そのためには日々特訓だぞ？
男の子なんだから、ついてこれるよな。

「早く一緒にスケートしようね。」

そして親子二代、オリンピックで金メダル！
そんでもってロシア語ぺらぺらで、向こうのスケーター達をびびらしてやろう。

「文武両道だぞ。」

俺とAの子供だし、お前ならきっと出来るから。

これからの成長を想像して、また幸せな気持ちでいっぱいになった。




.

【thirty前編】1　☆→←【イクメン】9　☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す