時間と距離を超えて16

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今日も一日、仕事を終えてマンションに帰ったら不意に鞄の中のiPhoneが鳴った。メッセージだ。
玄関先で見るのもな、と思いとりあえずリビングへ行く。

「ただいま！…なんだ、ゲームしてるの。」

ソファーに寝転がってゆづが、ヤバいヤバい。と携帯ゲームと格闘している。

「おかえりー…。わぁ、捕まった！」

慌ててゲーム機のボタンを連打している。
…２７才にもなって何やってるんだか。

「晩ご飯。コンビニのでいいよね。」

今日は私が担当だから、帰りにいつものコンビニで買ってきた。
たまにのぞくと新商品が出ていて、それはそれで食欲をそそられるものだ。

「待って、あと５分。」

はいはい。まったく…こう言う所ゆづは子供だなー。
こりゃまだまだ赤ちゃんなんていらないか。

「そうだ、メッセージ来てたんだ。」

とりあえず部屋着に着替えようと自室に向かう。
バランスボールが減って少し広くなった部屋で、鞄からiPhoneを取り出した。

「あ、ジュンジュンからだ。」

最近やりとりしてなかったから久しぶりだなーと画面をタッチする。えーと…。

『羽生結弦のアイスショーのチケットが当たったぁ！！！！』

え、本当？！てかすごい数のビックリマーク(笑)
私は早速返事を送った。

『すごいね！いつのショーなの？？』

返信したら、ジュンジュンからのメッセージが来てからあまり時間が経ってないのですぐに既読がつく。

『来月の仙台のアイスショー！』

仙台か…。ん？これってこないだテレビで言ってたやつかな。日本のスケーターしか出演しないとかなんとか…。
唇に指をあてて考えていたら、またメッセージが来た。

『でさ、チケット代はタダだけど、どう頑張っても交通費だけでいっぱいいっぱいなんだよね。姉ちゃん泊めてくれない？』

そーかそーか。
…へ？！泊めてだって？！わわわ…。これは無理なお願いだよー。第一ゆづ本人の家なのに。

「こ、断らなきゃ！」

急いでまた返事を入力する。

『私最近結婚したの知ってるでしょ、悪いけどホテル探してよ。』

『廊下でもいいから！頼むよまじでー(*-ω人)』

いや、だめだって！

『旦那さんに怒られちゃうよー。』

こないだ反対してたし、今言っても確実に拒否されるに決まってる。

『何もタダでなんて言わないよ。ペアチケットだから姉ちゃん一緒にショーに行こう！』

…え。

『ちなみにSS席！』

嘘っ！すごい！
…SS席だなんて、こんなチャンス二度とない…いや、何釣られてるんだ私。

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