時間と距離を超えて16

【ゆづ会議】2　★ ページ44

「…外出るの？」

大丈夫？とAが俺を見る。
うーん、微妙だけど平日だしな…。

「ちなみにどこなの？」

せめて行き先だけでも聞いてみる。
出来る事なら俺も一緒に行きたいし。

「羽生さんのモニュメントが見たい！！」

え…。モニュメントってあの国際センター駅の？

ジュンジュンが見たがっているのは、オリンピック金メダリストの俺としーちゃんの功績をたたえて作られた…って本気か！

「さすがに昨日の今日でファンとかいるぞ。」

「平日だよ？昨日のうちに帰ってるって。」

記念写真は外せない。だなんて、そこは絶対なんだ。

「羽生さんとの写真ちょう我慢してるんだから、せめてモニュメントと写真撮らしてよ〜。」

あ、そうか。
ジュンジュンわきまえてたのか。…偉い。

「ゆづ。なんなら家で留守番してる？」

「え〜…俺だけちょう暇じゃん。」

せっかく久しぶりのAとの休日でもあるのに。

「プライベートなんだからさ、いいんじゃない？ファンに見つかっても。」

「プライベートだからおかしいんだよ。」

誰が観光客みたいに自分のモニュメント見に行くんだよ。

「姉ちゃん見たことあるの？」

「…ないな。」

「「嘘！！」」

思わずジュンジュンとハモった。
まじか。それは俺の妻としてあるまじき…！

「それは是非とも見に行かなきゃだめなんじゃない？」

「うーん…そうだね、一人で行くとか無理だもんね。ジュンジュンがいてくれてよかったぁ。」

あ、なんとなく話がまとまりかけている。これはまずい。

「二人で勝手に決めんなよ。」

「だから羽生さんも行こって。場所駅のそばだから俺そのまま横浜帰るし。」

「そうだよー、もうしばらくはジュンジュンと会えないんだよ？」

見送りくらいしようよ。とAからの押しの強いお誘いに悩む俺。

「だけど本人が自分のモニュメント見に行くって…。」

せめて他の人のモニュメントならすんなりオッケーだけど…。

「一緒に見たいなぁ〜、ゆづの歴史の１ページ…。」

ついにはAに上目遣いでお願いされて…。

「俺絶対仙台で羽生さんちに泊まったこと誰にも言わないよ。」

ジュンジュンからは真っ直ぐな眼差しで見つめられる。

「……。」

俺どうすりゃいいのよ。

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