時間と距離を超えて16

【お泊まり会】2　★ ページ35

「A、今日の晩ご飯何？」

「カレーだよー。」

ぴょんと跳ねてキッチンへ直行するA。
ふーん、ジュンジュンに合わせたのかな。食べ盛りの高校生だもんな。

ちらっとジュンジュンを見るとなんだか急にそわそわし出した。…緊張してんのかな。

「ジュンジュン荷物置きなよ。あ、テレビでも見る？」

「う、あ、はい…。」

あちゃー、そんな返事らしくねーなー。
リラックスしろ(笑)

リュックを床に置いたジュンジュンの肩に、後ろからぽんと手を乗せる。
わ！と驚いた声を上げたけど、そのまま力を込めて揉んでやった。

「固いなぁー、そんなんじゃダメだからこっち来て？」

もうすぐご飯だしキッチンに連れていく。テーブルの椅子は４つあるので、俺と向かい合わせに座らせた。

「……。」

「ね、ね。何か聞きたいこととかないの？？」

俺は手足をびよーんと伸ばしてテーブルに突っ伏す。
だけどジュンジュンは黙ったままだ。

「そんな漠然とした会話じゃだめだよ(笑)」

冷蔵庫から予め用意していたカレー鍋を出すAにダメ出しされた。

「そう？じゃあ今日の俺の滑りどうだった？」

感想なら言ってくれるかと思い、スケートのことを聞いてみる。

「…今日前半、調子悪かったの？」

ぼそっと話すジュンジュンに、いきなりか！苦笑する。
それと同時にAに伝えなきゃいけないことを思い出した。

「あ、A。俺カレー少なめで。」

「え。ゆづお腹空いてないの？」

振り向いた拍子に手に持っているお皿がかちゃりと鳴る。

「いや実はさ…。」

俺はさっきの、調子悪かったのかという質問に答えてあげるべく、三日間食事の量を減らしていたことを教えてあげた。

「え？！は、羽生さんがダイエット？！」

信じられない！というような表情で見つめられる。

「そんな大袈裟なもんじゃないけど、グラム単位で重くなってたの。Aの作るご飯、全部食べなきゃって思ってたけど、これからは減らしてもらおっかなー。」

スケーターにとって体重は死活問題に関わるから管理は欠かせない。
するとAが…。

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