時間と距離を超えて16

【周りの声】8　☆ ページ33

☆主人公サイド

自宅マンションの駐車場に着いた。
会場からは３０分かからずに帰って来れたので、充分晩ご飯の時間内だ。

「ゆづありがと。」

「うん、…え？！」

私がゆづの名前を出したから驚いてる。

「実はジュンジュン寝ちゃったの。」

「…あぁそうなんだ。長旅でしかもショーではしゃいで疲れたんだな。」

隣で目を閉じている姿はまるで子供のようだ。
こんなかわいい男の子なら欲しいかな…、なんて心の中で思ってしまう。

「ねぇ。今のうちにさ、先に鍵開けて家で待っててよ。」

ドアを開けてゆづがいたら…。ジュンジュンどんな顔するかな。と想像してゆづにお願いしてみる。

「あぁいいよ。」

いたずら好きの夫婦、なんてたち悪いかな？
でも駐車場で騒がれるより、家で思う存分驚いて欲しいのも本音だ。

じゃあよろしくね。と目配せをして、作戦を決行する。
ゆづが乗り込んだエレベーターが動き出したことを確認してからジュンジュンを起こす。

「ジュンジュン、起きて？着いたよ。」

「ん…。あ、あぁ俺寝てた？」

あれ？姉ちゃんの旦那さんは？と聞かれたので、先に部屋へ行ったことを伝える。

「さ、お腹空いたでしょ？晩ご飯食べようか。」

なんだか私、お母さんみたい。
ふふ。ジュンジュンが相手だと楽しいなー。

「うん！ふあぁ〜…。俺お腹ぺこぺこだぁ。」

車を降りて、預かっていたキーで車をロックする。そしてエレベーターに乗って８階へ。
ぐんぐん登って行くこの時間も私はドキドキが止まらないので、つい無言になってしまう。

ジュンジュンどんな反応するかな。喜ぶかな。
それとも…泣くかな。

軽いベルの音が鳴って自宅階層に到着した。
いよいよだ…。

ジュンジュンに前を歩かせて私は後ろから付いていく。

「そこの部屋なの。チャイム押してくれるかな。」

「オッケー。」

ピンポーンと音をさせたら中から、はーい。と声がする。
いつもの甲高いゆづの声だ。

「ジュンジュンドア開けて？」

「あ、うん。」

がちゃりと開けた扉の先には、帽子も眼鏡もしていない私の旦那さんこと、ゆづがいた。




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