【終章】4 ★ ページ31
部屋の前まで来ると、俺はドア付近に身を隠して、それを確認した田中がインターフォンを押す。
すると中から人の出てくる気配がした。
田中がすぐ身分証を出したようで、姿はよく見えないけど、だるそうに対応している声が聞こえてくる。
「すみませんねぇ、山田社長。自宅まで押し掛けてしまって。」
金曜日なのでどうしても今日中に提出しなきゃだめなので。と最もらしい理由を添える。
「さっさとしてくれ。で？どこに不備があったって？」
「えーと、ここなんですよね？」
あんな紙切れで本当に大丈夫なのかよ…。
すぐに偽物だってばれるんじゃないかと、内心ヒヤヒヤする。
そして、紙を開く音とほぼ同時に何か鈍い音がした。
短いうめき声がしたと思ったら突然ドアの影から倒れた人の頭が現れて…。
「へ？！」
「さぁ羽生さん。早くA先輩を探してください。」
田中に呼ばれて急いで物陰から出ると、そこにはのびた…山田らしき人物が…。
「お前…！何したの？！」
「え？何って…制裁ですけど？」
それより早く先輩を。と言われて、今はAを助けるのが先かと、とりあえず山田をまたいで部屋の中へ入る。
田中には玄関で待っててもらって、俺は急いでAを探す。
いくつか部屋の扉を開けて、順番に中を調べていく。
そして最後に寝室らしき部屋にたどり着いた。その扉を開けると…。いた、Aだ！
俺はAの名を呼びながら駆け寄った。
明かりをつけて、身体におかしな所はないか、怪我をしていないか、細かに目視で確認していく。
「A、A！」
衣服の乱れはない…。表情もおだやかで、涙の跡もなさそうだ。
「羽生さん、入っても大丈夫ですか？」
廊下から田中の声がしたので、少し迷ったけど入ってもらう。
それは俺が、恐らく何もなかったのでは？と判断したから。
「なぁ田中、なんでAは寝てると思う？」
むしろ今のこの状態。ぶっちゃけ気持ちよさそうに眠っているだけのように見える。
「リビングに飲みかけのコーヒーが置いてありましたよ。一服盛られたんじゃないですか。」
「げ、まじか。」
一歩間違えたら犯罪だ…ってもうすでに犯罪か、これは。…未遂っぽいけど。
「さもこれから、って所だったのかもしれませんね。どうやら間に合ったみたいです。」
「はぁあ〜…。良かった。」
一気に肩の力が抜けてへたりこむ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 149人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - suzuranさん» 織田さん出てなかったらしいけど、もしそうなら残念！安定の松岡さんですね(*^_^*)ここの主人公は変わり者設定なので、ありえない所で妬いたりします(笑) (2017年4月5日 13時) (
レス) id: 4e9137a26b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 智枝さん» さっきまで国別の会見してましたね。見れなかったけど流れてくるツイートでなんとか雰囲気を知ることができました。今月はしばらく日本ですね！テレビで見れて嬉しいなぁ！(^▽^) (2017年4月5日 13時) (レス) id: 4e9137a26b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 紫さん» そうなんです！田中の癖にいい仕事するんです(・∇・)楽しいです！次移行で、今日も更新しますので、しばし御待ちを〜！ (2017年4月5日 13時) (レス) id: 4e9137a26b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 私はフジ系を録画していたのですが、途中で切られてしまいました。NHKだったのー？(ノ_・,)生放送インタビューが出来る羽生さんはすごいですね。絶大な信頼の元に中継されて…。マシンガントーク万歳！ (2017年4月5日 13時) (レス) id: 4e9137a26b (このIDを非表示/違反報告)
suzuran(プロフ) - 男性にやきもちかぁ〜可愛い(´∇`) 田中君、最近色んな意味でナイスすぎますw！明日は国別の選手発表。織田さん＆修造さんコンビ、めっちゃ好きですw。 (2017年4月5日 0時) (レス) id: 4f2407ab74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2017年3月21日 16時
