【パパ】1 ページ20
「結弦！そっち行ったよ！」
捕まえて！というAの声が夜のリビングに響き渡る。
「よしきた！」
そう言って両手を広げて迎えいれるのは…素っ裸の一花だ。
「きゃー(笑)」
「つーかまーえたっ。」
俺がさっとバスタオルでくるんで水滴をふく。
「ふぅ〜…。毎日毎日お風呂も一苦労だよ。」
大袈裟に額の汗を拭って、Aがシャツの腕まくりを直している。
「翔は？」
「もうすぐミルクかなー。」
今度はとたとたとベビーベッドまで行くAは、もうすっかり母親としての貫禄がある。
それに引き換え俺はというと…。
「ゆじゅる！いちかもミルクのむー。」
用意しておいたパジャマを着せながら、一花の呼び声に耳をかたむける。
もう…まただ。
「一花？結弦じゃなくて、パーパ。パパって言ってごらん？」
「……。」
聞こえてないふりをしているのか、黙ってしまった。
そう、一花は俺のことを何故か“結弦”と名前で呼ぶ。
最初はゆづ、って呼んでるのかなって気にしてなかったけど、２才になると急に結弦になって…。
正直俺は戸惑っている。
「パパって呼ばなきゃミルクやんないよ？」
最後にズボンを履かせて冗談まじりに言うと一花が…。
「ぶーだ！」
「わ！」
俺の顔に軽く唾を吹きかけてそのまま踵を返して行ってしまった。
それを持ってるバスタオルでふいて…。もー何なの…。
そしてソファーに座って母乳をやっているAのそばで、弟の顔をニコニコと見ている。
一花が生まれて今年で２年と少し。
半年前に待望の男の子、翔(かける)が生まれて羽生家も益々賑やかになった。
「ママー、いちかもミルクほちぃの。」
「そっかそっか。結弦、一花にミルク入れてあげてよ。」
翔を抱っこしたままだから、もちろん俺に役目が回ってくる。
「それ、その呼び方がいけないの。ちゃんと俺のことパパって言ってよ。」
キッチンの冷蔵庫へと歩きながらAを指差す。
「あはは。ごめーん。気をつけてるんだけど今さら難しいっていうか(笑)」
謝ってるけどちっとも悪そうに思ってないだろ。
むしろまた楽しんでる。
自分はちゃんとママって呼んでもらってるからいいけど、外で子供に名前で呼ばれた時、俺どんだけ恥ずかしいか知ってんの。
ストロー付きの小さなボトルに牛乳を入れていると、察した一花が俺の足元にまとわりついて来た。
「待って。…はい、牛乳。」
「わーい。」
屈んで一花に渡す。
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鹿(プロフ) - 厨二病さん» ありがとうございます＾＾羽生さんがなにかネタを提供してくれないかな〜と思う今日この頃。 (2018年4月5日 16時) (
レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
厨二病(プロフ) - すごく面白かったです！続編期待してます！ (2018年4月4日 0時) (レス) id: 660c61ccc2 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - マナさん» ありがとうございます！長かったですよね〜。写真も野球もそんなに詳しくない中、よく書いたなって自分でも思います＾＾ここはほぼ子育てルームになっているので、またネタができたら・・・。ギャグですけどね！ (2018年3月22日 16時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ああああ 嘘でしょーーついに読み終わってしまった…これからでも続編書いていただきたい。。それほど素晴らしかった！！本当に面白かった！！これからも期待してますよー^^ (2018年3月20日 23時) (レス) id: 595eca3f4d (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 羽生さんの口調好きですわ〜。なよっぽい部分もありつつ、攻撃的な部分もありつつ。けっこう独特ですよね、方言でもないし。(*・∀・*)ノ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 5b18a5bb03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2017年2月24日 18時
