【信じる】9 ☆ ページ38
「それが、何か…。」
「食事の後、酔いを醒ますためにそのまま部屋をとったのだけど、羽生さんお酒弱いじゃない？」
「…弱いです。」
何だか話が変な方向へ行きだした気がする。
「流れ的に…だったけど、素敵な夜だった…。彼は覚えてないかも知れないけど。」
すっと切れ長の目でにらまれる。
「…何が言いたいんですか。」
私の脳が、聞くな。って警告音を鳴らしているみたいになる。
言葉の節々でなんとなく分かるのに、確証を得るために聞き返してしまう私…、どれだけ弱虫なんだろう。
「分からない？男女がホテルですることなんて決まってるじゃない。」
「……。」
頭を殴られた気がして目を閉じる。
この場合、やっぱりあれ…だよね。
だめだ、ちっとも頭の中で整理出来ない。
「私のお腹の中に、彼の子供がいるって言ったらどうする？」
「へ？！」
突然の子供という言葉に心臓が跳ねる。
それはつまり、一夜限りの過ちで不本意な…。
「黙ってようかと思ったけど、やっぱり父親のいない子になってしまうのってかわいそうだと思うの。」
「ち、父親…ゆづが。」
だめだ…頭痛い。
「もう三ヶ月だし…そろそろ彼にも伝えなきゃって。」
この人さっきから何言ってるの…。ゆづはこのこと知らないってこと？こんな大事なことを…。
待って。一旦落ち着こう、私。呼吸が変だ。
一度大きく息を吸って深呼吸する。
「……。」
もしも。もしもそれが本当なら、私は身を引かなくちゃいけない。
ゆづは子供を欲しがってたし、責任感だって人一倍あるから、絶対に由依さんを一人にしたりしない。
だけどたとえ酔っていたとしても、あのゆづが勢いでこの人とベッドを共にしたりするかな…。
食事会、あんなに嫌そうに帰って来たのに？
私の身体が治るまでずっと待っててくれたすごい忍耐力の持ち主なのに、あっさり他の人となんて…。
あんなに私のために我慢してたの知ってるし、今までだって私のことを大事だって何度も言ってくれた。
たくさんの言葉で私を信じさせてくれたじゃない。
それにいつだったかゆづ言ってた。俺の言葉しか信じないでって。
このまま由依さんのいいように流されたらだめなんじゃないかな。今こそ私がゆづを信じてあげなきゃいけないんじゃないかな。
ここでしっぽを巻いて逃げ出したら、ゆづの全部を裏切ることになる。
私、彼女だよね…。私がゆづの一番なんだよね！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 智枝さん» そんなに！いいですね〜…。こんなお話書いてる場合じゃなく、試合見に行ってみたいです。だけど関西じゃあ…大阪くらいかな。そしてまた妄想に走る！ (2017年3月4日 21時) (
レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - そっかー残念や！来月の国別対抗や16日のセレモニーにも行く予定だよ(笑)当たれば(笑)超絶現場系やなわたし(笑) (2017年3月4日 13時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 智枝さん» いろんな場所で本人に遭遇してるんですねー。すごい、スケート関係なのが羨ましい(笑) こっちはリンクもどこにあるのか知らないですもん。来季は全ての試合が遠いので行ける所なんて一つもありそうにないです(´д｀|||) (2017年3月4日 10時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 私はフィギュアの現場によく行くので、羽生さん次第で今年はFaoi DOI NHK杯 名古屋GPF 全日本 そしてオリンピックに行く予定だよ〜！どこかでお会いできるといいな〜☆ (2017年3月4日 0時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
智枝 - 出来るだけ長く話を引っ張って欲しいな〜！子どもに教える羽生氏、、、そういえば以前都内某アイスリンクで見かけた時は後ろにくっついていた子ども(私の子を含む笑)達に練習しなくていいの？大丈夫？って言ってたなぁ(笑)まぁ羽生さん見たら後を追いたくなるわな(笑) (2017年3月4日 0時) (携帯から) (レス) id: 8a519c5c92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2017年2月14日 16時
