【持ってて】11 ★ ページ36
「さっきだってただ着替えようとしてただけだよ。佳菜はジュニアの頃から一緒だったし…今さら特別な関係にはならないよ。」
「そ、そんなの…わからないでしょ。」
「それにあの後、もう一人部屋に来る予定だった。A、ホテルの廊下ですれ違っただろ?」
Aが考え込んでいる。
おそらくホテルでの出来事を、必死に思い出してるな。
「そういえば…。」
「ちなみに彼はノブ君。先輩のスケーター。」
二人ともオリンピック経験者だよ。と教えてあげると、すごく驚いた顔をして、へにゃっとベッドに倒れ込んだ。
「わ、私…最低過ぎる。」
無知だったこと?それとも俺のことを疑ったこと?
「ね、俺が浮気したと思った?(笑)」
「……。」
「すごーく心外だわ。こんなにもA一筋に今日まで我慢してきたんだぜ?俺。」
「知らない知らない!」
布団にもぐってしまった。
俺はそのままAの上に覆い被さって、ちらりと見えている耳元に唇を近づける。
「…なんならもう一回、する?」
「む、無理だから!」
すぐにガバッと布団から出てきた。
「あはは!冗談だよ。」
俺だってそんなに無茶はさせたくない。
「ゆづが言うと冗談に聞こえない…。」
あ、それよく言われるやつだ。
Aも俺のことが分かってきたな。ふふ、面白い。
「さて、そろそろホテルに戻らなきゃ。」
「あ…。」
Aの表情が一変して寂しそうになった。
「一緒に寝たかった?」
「…うん。」
そんな顔しないで。
さっきまですごく幸せだったのに、また一人にさせてしまう罪悪感に苛まれる。
「明日もまだ全日本あるし、朝早いからな…。一緒にいたいけど…ごめんな。」
頭を撫でて、頬に触れる。
「じゃあ…家に帰んなきゃ。」
俺は、待って。とベッドから起きようとするAを制して、脱いだスーツを再び手に取る。
そしてそのポケットからこの部屋の鍵を取り出した。
「Aがいいならここで寝てな?」
「え?」
Aの目の前にそれをかざす。
「これ、持ってて。」
「…ゆづのは?」
「うん。スペア持ってるから大丈夫。」
俺がそう言うと、そっか。と鍵を受け取った。
「じゃあ、ゆづが帰ってきたら返すね。」
Aが今渡した鍵を枕元に置く。
はぁ?
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鹿(プロフ) - 心菜さん» じゃあ、裏でこっそり絞めちゃうような感じの話ですかね?^^ 怖いわ〜怖いけど面白そう!冷酷なゆづ。主人公を守ってほしいですね!四大陸まであとすこし〜! (2017年2月13日 17時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆめもちさん» 最近Sっぽさが多くてどうかな〜と思っていました^^ なんかバトルするようなお話を書きたいですね。本人っぽさがなかなか出せませんが、乙女っぽいと話が進みにくいんですよねー。 (2017年2月13日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 私も怖いもの見たさです『阿修羅のような冷たい笑顔』を拝見したいですww。いえ、Sではないんですが、羽生さん美しいだろうなぁと。いよいよ4ccですね!楽しみですね! (2017年2月12日 19時) (レス) id: 81bea81c1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめもち - ついに!ですね。私用事があってしばらく見られなかったんですけど、久しぶりに見たらおぉ!で感じです。羽生くんの「阿修羅のように冷ややかな笑顔」絶対恐いですよね〜^ ^でも、Sが好きな私は嬉しい?(Mじゃないです!)彼女としてなら。 (2017年2月12日 17時) (レス) id: 7f41978512 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» あまりにアクセスがすごくてうれしい反面怖くてアップしてしまいました^^;ここからどうつなげていくか…まだ定まっていませんが、けっこうはしょっちゃうかな〜。 (2017年2月11日 9時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年1月30日 16時