時間と距離を超えて10

【プレゼント】6　★ ページ17

★ゆづサイド

クリスマスはお互いに仕事だということが分かって、ほっとした反面少しがっかりした。

連盟からのメールで今年の全日本の解説を頼まれたものの、正直不安もある。
だけど夢でもあったし、また間近で試合が見れる楽しみができた。

なにもクリスマスだけが特別じゃないし、今回はおとなしく仕事に励もう。

「A、最近まだ仕事忙しい…ん？」

プレゼントも選び終わってなんだか静かだな、と思っていたら、Aがソファーで眠っていた。

よほど疲れてるんだな…。だけどこんな所で寝たら風邪引くし。
俺はAの身体を軽く揺すって起こす。

「A、起きなよ。」

「うーん…。」

身じろぎした。
けどまだ起きない。

「おい、襲うぞ。いいの？」

こないだは途中でやめたから、なんならこのまま最後までしちゃうよ？
ちょっといじわるをしてやろうかと太ももを触ってやる。

「ふぁ？ん…。」

…まだ起きない。
それなら、と今度はキスしてやった。

「…ん、わぁ！」

飛び起きた。

「A、無防備すぎ。そんな隙だらけだと、こないだの続きするけど？(笑)」

久しぶりに会えたんだし、ここは押せ押せで行ってやる。

「わ、えっと…！」

ゆっくり体重をかけていく。
後ろはソファーだからもちろん逃げ場はない。
でもその時。

ぐるるる〜…。

「ん？」

なんだ今の音。

「わぁ！」

Aが自分のお腹を押さえた。
え、ひょっとして…。

「A…ご飯まだなの？」

「う、うん…。」

恥ずかしそうにうつむいた。
そうか、職場から直行したのか。

「あ、なんだ。言えばいいのに。てかこのシチュエーションで…(笑)」

俺は笑いが止まらなくなって、Aから離れて顔を手で覆う。

「わ、笑わないでよ〜！」

「悪い悪い。おいで、雑炊作ってやるよ。」

立ち上がってキッチンへ向かう。
鍋の後の雑炊。一人じゃ食べきれないから無理だなって思ってた。

「何か食べてくればよかった…。」

まだソファーに突っ伏している。
ご飯食べる暇もないなんて、よほど仕事が大変なんだな。
身体を壊さなきゃいいけど。

あまり無理しないで欲しいな、と思いながら、雑炊の準備に取り掛かった。

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