検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:164,463 hit

【マフラー】8 ☆ ページ8

あの日の出来事を思い出してやだな、と思っていると、ささっとTシャツとジャージに着替えたゆづが出てきた。

「……。」

帰って来たばかりで、室内をうろうろするゆづとは対照的に、じっと突っ立っている私。
さすがに声をかけられる。

「あ、お茶入れるわ。座りなよ。」

「あの、ゆづ!」

「?」

少し大きな声で呼んでしまってきょとんとされる。
私は腕の中のプーさんをぎゅっと抱き締めて、意を決してゆづに話しかけた。

「わ、私が通訳として付いて行ってもいいのかな!」

いきなり本題に入ったのでゆづが驚いてる。

「あぁ、そっちに連絡いったんだ…。」

そう言いながらゆっくり近づいてくる。
そして私の目の前に来て、肩に手を置いた。

その仕草が優しすぎて、これから何を言われるんだろうと身構える。
いい話か、悪い話か。どっちにせよ緊張でどうにかなりそう…。

「ねぇ…」

「待って、その前に…。」

肩にあった手が離れた瞬間、私はプーさんごとゆづの腕に抱き締められた。
いつもより強い力で、息さえもしづらい。

「ゆづ?く、苦しいよ!」

「…A、この間は本当にごめん。」

「へ?」

突然謝られて間抜けな声が出る。

「Aの気持ち、大事に出来てなかった。それに…かなり無理矢理だったわ、俺。」

反省してる。とまた謝られる。
そして少し力をゆるめてくれて、髪を撫でられる。

「……。」

「今日さ、連盟の人とその娘さんとで食事会行ったんだ。」

ぽつりとゆづの口からつづられる言葉に、思わず顔を上げる。

「食事会?」

だからスーツ着てたんだ。
ゆづそういうのあまり好きじゃないって言ってたけど…。

「裏工作の見返り、かな。色々あるんだよ、スケート業界も。」

そうなんだ…。
でもそれが今なんの関係があるんだろう。

「……。」

「それでさ、食事中やたら俺にアプローチしてくんの。」

親子揃って。とゆづが嫌そうに言う。
…あまり聞きたくない内容だな。

「…もてもてだね。」

ちょっと嫌味の意味を込めると、まぁ聞けよ。と鼻をつままれた。
痛い…。

「でもさ、全部Aと比べちゃうんだよな、俺。」

「…私?」

「そ。Aよりかわいい子なんていないわ。だから、もしも俺のこと嫌いになったとか言うんなら…まじ考え直して欲しい。」

えぇ?!何言ってるの。
私がゆづを嫌いになるなんて絶対ないのに!

【マフラー】9 ☆→←【マフラー】7 ☆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (86 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
299人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鹿(プロフ) - ゆめもちさん» もしくは簡単に読める名前ですね。私漢字が苦手で、読みにくい文字はひらがなにしちゃうんですよねー。気づいてました?^^ (2017年1月30日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 実際はこんなことないかもしれませんが、妄想^^4年前なんて全く注目していなかったゆづ。今じゃこんなお話を書いてしまって…罪悪感!笑 (2017年1月30日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめもち - 名前をつけた意味がない小橋(笑)なんの意味もない!by小島て感じですね。でも二人以外は確かにいらないですよね。 (2017年1月29日 20時) (レス) id: 7f41978512 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 甘〜いカナダ編、ありがとうございました。存分に羽を伸ばして休めることができたようで、現実の世界でもそういう時間が持てればいいな、と思ってしまいます。この間、久々に4年前の四大陸を見たら、ゆづの可愛いこと!大人になったな〜としみじみ。 (2017年1月28日 18時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» これからもっとラヴになっていきます^^ そうするとだんだん内容に悩んでしまいますが…。私もゆづロスですよ〜!あと半月で四大陸。インフルもう勘弁してー笑 (2017年1月28日 13時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2017年1月16日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。