【マフラー】8 ☆ ページ8
あの日の出来事を思い出してやだな、と思っていると、ささっとTシャツとジャージに着替えたゆづが出てきた。
「……。」
帰って来たばかりで、室内をうろうろするゆづとは対照的に、じっと突っ立っている私。
さすがに声をかけられる。
「あ、お茶入れるわ。座りなよ。」
「あの、ゆづ!」
「?」
少し大きな声で呼んでしまってきょとんとされる。
私は腕の中のプーさんをぎゅっと抱き締めて、意を決してゆづに話しかけた。
「わ、私が通訳として付いて行ってもいいのかな!」
いきなり本題に入ったのでゆづが驚いてる。
「あぁ、そっちに連絡いったんだ…。」
そう言いながらゆっくり近づいてくる。
そして私の目の前に来て、肩に手を置いた。
その仕草が優しすぎて、これから何を言われるんだろうと身構える。
いい話か、悪い話か。どっちにせよ緊張でどうにかなりそう…。
「ねぇ…」
「待って、その前に…。」
肩にあった手が離れた瞬間、私はプーさんごとゆづの腕に抱き締められた。
いつもより強い力で、息さえもしづらい。
「ゆづ?く、苦しいよ!」
「…A、この間は本当にごめん。」
「へ?」
突然謝られて間抜けな声が出る。
「Aの気持ち、大事に出来てなかった。それに…かなり無理矢理だったわ、俺。」
反省してる。とまた謝られる。
そして少し力をゆるめてくれて、髪を撫でられる。
「……。」
「今日さ、連盟の人とその娘さんとで食事会行ったんだ。」
ぽつりとゆづの口からつづられる言葉に、思わず顔を上げる。
「食事会?」
だからスーツ着てたんだ。
ゆづそういうのあまり好きじゃないって言ってたけど…。
「裏工作の見返り、かな。色々あるんだよ、スケート業界も。」
そうなんだ…。
でもそれが今なんの関係があるんだろう。
「……。」
「それでさ、食事中やたら俺にアプローチしてくんの。」
親子揃って。とゆづが嫌そうに言う。
…あまり聞きたくない内容だな。
「…もてもてだね。」
ちょっと嫌味の意味を込めると、まぁ聞けよ。と鼻をつままれた。
痛い…。
「でもさ、全部Aと比べちゃうんだよな、俺。」
「…私?」
「そ。Aよりかわいい子なんていないわ。だから、もしも俺のこと嫌いになったとか言うんなら…まじ考え直して欲しい。」
えぇ?!何言ってるの。
私がゆづを嫌いになるなんて絶対ないのに!
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鹿(プロフ) - ゆめもちさん» もしくは簡単に読める名前ですね。私漢字が苦手で、読みにくい文字はひらがなにしちゃうんですよねー。気づいてました?^^ (2017年1月30日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 実際はこんなことないかもしれませんが、妄想^^4年前なんて全く注目していなかったゆづ。今じゃこんなお話を書いてしまって…罪悪感!笑 (2017年1月30日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめもち - 名前をつけた意味がない小橋(笑)なんの意味もない!by小島て感じですね。でも二人以外は確かにいらないですよね。 (2017年1月29日 20時) (レス) id: 7f41978512 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 甘〜いカナダ編、ありがとうございました。存分に羽を伸ばして休めることができたようで、現実の世界でもそういう時間が持てればいいな、と思ってしまいます。この間、久々に4年前の四大陸を見たら、ゆづの可愛いこと!大人になったな〜としみじみ。 (2017年1月28日 18時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» これからもっとラヴになっていきます^^ そうするとだんだん内容に悩んでしまいますが…。私もゆづロスですよ〜!あと半月で四大陸。インフルもう勘弁してー笑 (2017年1月28日 13時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年1月16日 16時