【マフラー】4 ★ ページ4
★ゆづサイド
午後、俺は気の進まない食事会へ来ている。
と言うのも、今回無理を言ってショーの振り付けに通訳を同行してもらうのを認めてもらう見返りに、連盟の偉い人との会食に呼ばれたからだ。
要するに、たかがショーの振り付けに通訳一人雇うこと自体が特例なんだろうな。
まぁ分からなくもないけど。
待ち合わせ場所は仙台市内のホテル。
約束の時間より早く来たつもりが、相手の方が早かったようで、ロビーで声をかけられる。
「羽生君、こっちだ。」
普段ほとんど接点のない幹部クラスの人。
年は俺の父さんより少し上か。
「すみません、早く来たつもりがお待たせしてしまいましたね。」
「いや、こっちが早く来てしまったんだ。娘が早くって急かすもんでね。」
え、娘?
男性の隣を見ると、俺と年の近そうな女性が一人立っている。
「はじめまして。娘の由依です。」
「はぁ…どうも、羽生です。こんばんは。」
なんだ?今日はこの三人で食事なの。
「とりあえずここでは何だから、店に行こう。」
連盟の人に促されて、エレベーターで上層階へ向かう。
ついた先は高級そうな和食の店だった。
個室へ案内されて、向かい合って席につく。
俺の目の前には由依さんが座った。
「今回は無理を言ってすみませんでした。」
先に今回のお礼を言っておく。
「いや、羽生君が通訳をつけたいだなんて、余程のことなんだろう。」
「そうですね、細かいニュアンスなんか、僕の英語じゃまだまだで…。」
お絞りで手を拭きながら、静かな部屋で会話をする。
こういう雰囲気、正直苦手だ。
「それに見合う素晴らしい滑りで、ショーを魅了してくれよ?」
君は世界一のスケーターなんだから。と少し笑いながら言われる。
「はい、頑張ります。」
しばらくすると、注文もしていないのに料理が運ばれてきた。
この人が全てお膳立てしてくれたのかな。
上に立つ人間の世界はつくづく良くわかならい。
「所で羽生君、年はいくつになる?」
いきなり年のことを聞かれて戸惑う。
「えっと、今年27になります。」
「じゃあ由依の一つ下か。」
無意識に娘さん…由依さんの方を見ると、優しい笑顔で微笑んでいる。
そっか、同じ年くらいかと思ったのは、あながち間違ってなかったのか。
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鹿(プロフ) - ゆめもちさん» もしくは簡単に読める名前ですね。私漢字が苦手で、読みにくい文字はひらがなにしちゃうんですよねー。気づいてました?^^ (2017年1月30日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 実際はこんなことないかもしれませんが、妄想^^4年前なんて全く注目していなかったゆづ。今じゃこんなお話を書いてしまって…罪悪感!笑 (2017年1月30日 16時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめもち - 名前をつけた意味がない小橋(笑)なんの意味もない!by小島て感じですね。でも二人以外は確かにいらないですよね。 (2017年1月29日 20時) (レス) id: 7f41978512 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 甘〜いカナダ編、ありがとうございました。存分に羽を伸ばして休めることができたようで、現実の世界でもそういう時間が持てればいいな、と思ってしまいます。この間、久々に4年前の四大陸を見たら、ゆづの可愛いこと!大人になったな〜としみじみ。 (2017年1月28日 18時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» これからもっとラヴになっていきます^^ そうするとだんだん内容に悩んでしまいますが…。私もゆづロスですよ〜!あと半月で四大陸。インフルもう勘弁してー笑 (2017年1月28日 13時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2017年1月16日 16時