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【距離感】4 ☆ ページ4

☆主人公サイド

…なにあれ。ゆづの態度もそうだけど、このプログラム。
エリザベスがゆづのこと好きな気持ちは分かるけど、先生も悪のりし過ぎだよ。
お客さんだって何て思うか。

これ以上ゆづを見ていたくなくて、ふいと後ろを向いて視界から逃れた。

「もしゆづの彼女がスケーターだったら、きっとあんな感じでゆづも楽しく滑れるんだろうな…。」

氷の上で一人つぶやく。
そうだよ。私みたいにわざわざ教えなくたって、一緒に練習したりしてさ。
スケートについて語り合ったり、切磋琢磨し合ったり出来るんだ。

…どうせ私はなんの取り柄もない女の子ですよ。
怪我してゆづの気持ちをおかしな方向に向けてしまっただけの、ずるい人間。

だめだ、ここにきて一気に自信がなくなってしまった…。
楽しみにしていたショーなのに、ちっとも楽しくない。それどころかもう帰りたいと思ってしまっている。

もはやこれは田中君のせいでもない。
自分のゆづに対する気持ちが定まってないからこんな気持ちになるんだ。

親しく出来なくても、八つ当たり的な態度は良くなかったかな。でもあんなの見せられたら、いくら私でも…へこむ。

田中君に通訳を頼んでくれれば良かったのに…。
いざという時使えない男だ。
どうせ今頃スケーターの女の子と楽しくやってるんだ、きっと。

ゆづと一緒に暮らしてた頃が懐かしい。身体はつらかったけど、心は満たされていた。

ひょっとしたら、今日の事で私に呆れちゃったかも…。
ゆづだって、こんなプログラムおかしいって言おうとしてたし。
続けさせたのは…私かな、この場合。

こっちだって仕事だもん…。
通訳しないで何しに来たの?ってなる。

「このままじゃ仕事放棄だわ…。」

背を向けて逸らした二人に再び向き合う。
そして先生の声が聞こえる場所まで移動する。

「You look like a sweetheart, right?(まるで恋人みたいね!)」

耳にした恋人という言葉にくらっとした。
…苦笑いしてなんとかごまかしたけど、内心穏やかでない。

挙げ句の果てに先生から、あなたもそう思うでしょう?なんて言われて返答に迷う。
にこにこ嬉しそうにしているエリザベスを見ると答えは一つしか思い浮かばない。

だからつい、そうですね。なんて思ってもないセリフを吐いて…。
自分で言って傷付いていたら世話ないって。

ふとゆづを見ると、渋い顔をしている。
私を見ずに氷をトゥでこんこんしている。

その表情は何を考えているのかいまいちわからなかった。

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鹿(プロフ) - ゆめもちさん» 想像と現実が違ってたんですかねえ〜。勢いでっていうのほど話がつながらなくなる展開になるので、ここはまず仲直りですね^^ (2017年1月16日 15時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
ゆめもち - なぜ羽生さんは驚いてしまったのか・・・。最後までって決めたらやっちゃいなよ!と思うけど、やっぱりショックなんだろうな。好きな人の怪我は。早く仲直りして! (2017年1月15日 19時) (レス) id: 7f41978512 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みちさん» 田中の当て馬的存在が書いてて楽しいです!今はひたすら誕生日までのつなぎで、これもそんなたいしたことにはならないです^^書いてたらこんな流れになってしまっただけというか…。たまにはいいかな〜 (2017年1月14日 10時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - う〜ん深刻な事態ですね。 でも、その後主人公ちゃんを抱きしめるゆづを想像しています。毎回田中のおかげ?で2人の中がどんどん近くなっていくと言うか、結構いい仕事してくれますね! (2017年1月13日 19時) (レス) id: e8907b1922 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆめもちさん» はい。今更新しておきました^^背中を押してくださりありがとうございます。あまり面白く書けなかったような気もしますが、よかったらどうぞ〜。やはり出来上がった夫婦は難しいですね^^; (2017年1月10日 17時) (レス) id: 081c59540b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2016年12月23日 10時

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